投稿者が、過去の問題ある投稿を後悔することはないのだろうか。15~39歳の男女を対象としたトレンド総研の「SNSの“黒歴史”」に関する調査(2015年6月)を見ていこう。なお、SNSの黒歴史とは、内容の恥ずかしさや痛々しさから、のちのち後悔したり、なかったことにしたいと思ったりする過去のSNSの投稿を指す。
調査によると、自分の過去のSNSの投稿を“黒歴史”と認識したことがある人は、32%と約3分の1もいた。過去の投稿を“黒歴史”だと認識するようになったきっかけは、「我に返って自分を客観視したこと」(77%)が最多で、そのほか付き合っていた恋人との別離や就職など、環境の変化によって過去の自分の行動を客観的に見られるようになったという人が多い。
過去の投稿を“黒歴史”と認識した後には、89%と大多数が「投稿自体を削除した」と答えた。そのうち59%は「投稿自体を何回も削除した」ことがあるという。何回も削除したことがある人は、20~30代では46%だったが、10代では72%にのぼった。「投稿元のアカウント自体を削除した」人も43%おり、そのうち半数以上は「アカウント自体を何回も削除したことがある」(55%)と回答した。特に10代は若気の至りで問題ある投稿をしがちであることが分かる。
確かに、その時の感情で後悔するようなことを投稿してしまうことは誰でもあり得る。我に返ったときに過去の投稿を削除してもいいだろう。しかし、問題なのは自分が気付く前に周囲が気付き、炎上してしまった時だ。炎上する投稿は、写真付きであることが多い。反応が多く期待できる写真を撮ろうとしたあまり、他人からも期待と異なる多くの反応が寄せられた状態が“炎上”だ。炎上すると、まとめページができ、写真などは他人に保存されてしまい、削除しても再アップロードされる事態になってしまう。そうなると、投稿を削除したりアカウントを削除しても遅いということになる。
SNSに投稿する時には、その投稿で他人を傷つけたり不快にしたりする可能性はないか、自分が後悔しないか考えてから投稿する習慣をつけよう。特に、死は軽々しく写真に撮ってSNSで共有すべきものではない。一般的に10代は常識がなく、時に他人を不快にさせる行動を取ることがある。保護者は普段から10代の子供たちの行動に目を配り、彼らが他人の気持ちに配慮し、節度ある行動ができるよう見守るべきだろう。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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