7月下旬、高校1年の少年ら4人が、Twitterで中学3年の男子生徒2人を特定、暴行するという事件が起きた。事件の3日前、少年たちの友人が無免許でバイクを運転、車と衝突する事故で死亡していた。それに対し、男子生徒たちは「悲しいとは思えない」とTwitterに書き込んでおり、少年らはこれに腹を立てていた。少年らは男子生徒たちと面識はなかったものの、書き込みの内容から個人を特定していたという。
この事件は、少年、男子生徒ともにTwitterやインターネットの特性を知らなかったために起きている。これまで起きたさまざまな炎上事件も、このために被害が広がっている。今回は、この特性に迫ってみたい。
Twitterは鍵をかけない限り、ツイートはインターネット上に広く公開される。Googleなどの検索サービスの検索対象になり、ユーザー以外でも投稿を見ることができる。リアルタイム検索で調べると、たくさんのツイートや、全体公開で投稿されたFacebookの投稿が見つかる。
中高生の場合、情報を広く公開するためにTwitterを利用する例は少ない。友達とコミュニケーションするために、LINEと似たような使い方をしている場合がほとんどだ。「LINEは返事がほしい時に使う。Twitterは返事は求めていないけれど誰かに聞いてほしい時に使う」という。しかし、その感覚で利用してしまうと、思わぬ人に個人的な投稿が見られる可能性がある。前述の事件の場合は、意図せず死亡した少年の友人たちに見られていたというわけだ。
Twitterは匿名で利用されることが多い。「匿名」だと人は脇が甘くなり、本音を漏らしたり、他人に対して攻撃的になる傾向にある。
PR TIMESの20〜30代男女を対象にした「ソーシャルメディア炎上に関する意識調査」(2011年10月)によると、「匿名登録をしているソーシャルメディア上で次のような内容は投稿できるか」という質問に対して、「自分の職場に有名人が来訪したこと」は23.4%が投稿できると回答。
「社会のルールに背く自分の行為(カンニングなど)」は7.7%、「法律を破る自分の行為(万引きなど)」は5.0%、「職場(会社・勤め先)の機密情報を興味本位で」は4.4%が投稿できると答えている。つまり、匿名なら炎上につながることでも投稿してしまう人が多いのだ。
高校2年男子A一郎は、バイト先で見かけたタレントの悪口をTwitterに書いて炎上しかけた。これまでにもバイト先に来た客の悪口などを書いて、読んだ人から批判を浴びたこともある。しかし、「リアルでは言えないんだから、Twitterくらい好きなことを書きたい。そのために匿名にしているんだから」と悪びれない。
匿名で脇が甘くなる理由は、匿名なら自分が誰か分からないはず、誰も読んでいないはずと考えるためだ。しかし、実際は個人の特定は容易であり、読まれたくない相手に読まれる可能性は十分にあるのは、前述の事件からも明らかだ。
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