ソニーは7月30日、2016年3月期第1四半期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.1%減の1兆8081億円になったが、音楽分野の増益、デバイス分野の増収により、営業利益は同38.8%増の969億円、当期純利益は同3倍の824億円となった。
ただし、他分野から1年遅れて構造改革を進めている「モバイル・コミュニケーション(MC)分野」は、売上高が同16.3%減の2805億円、営業損失が229億円の赤字(同16億円の赤字)と赤字幅を拡大した。
ソニー代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏は「大幅な費用削減を実施中だが、為替の悪影響や構造改革費用などが影響している。過去数年取り組んできた、規模拡大路線から方向を転換し、事業規模最適化のフェーズにある」とモバイル分野の現状を述べた。
会場内では、大幅な赤字を計上し、2011年11月に収益改善プランを発表した液晶テレビと、売上高と営業利益の推移を比較したグラフを掲出。「テレビ事業もモバイル事業と同様に規模を拡大し、固定費を増やした後に方針転換をした局面では、売り上げの縮小に費用削減が十分に追いついていかなかった。並行して構造改革費用も発生することから、大きな損失を計上することになる。テレビ事業はその後3年をかけ、2014年度に通期での黒字化を達成。モバイルについては2014年11月に新経営体制に移行し、方針を転換。今期中に構造改革や事業規模の適正化を終える予定だ」と見解を話した。
「売上規模を追わない戦略を徹底する」としたスマートフォンは、販売台数見通しを4月時点の3000万台から2700万台へと下方修正している。
液晶テレビを有する「ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野」は、液晶テレビの普及価格帯モデルの販売が伸びなかったこと、またホームオーディオ、ビデオ市場の縮小などから売上高が同13.8%減の2531億円と減収となったが、高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などから営業利益は同23.6%増の109億円の増収となった。
このほか、「PS4」のソフトウェアや周辺機器が好調に推移した「ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野」は、売上高で12.1%増の2886億円、営業利益は同4.5倍の195億円という大幅な増収増益を記録。イメージセンサがモバイル機器向けに需要増となった「デバイス分野」も、売上高が同35.1%増の2379億円、営業利益が同2.6倍の303億円と好調に推移した。
今回、大幅な増益となった「音楽分野」は、ソニー・ミュージックエンタテインメントが、持分法適用会社であったThe Orchardを100%子会社とした結果、すでに保有していた持ち分51%を公正価値により再評価したことにより181億円を計上している。
ソニーは6月に公募増資などによる資金調達を発表。それに対し吉田氏は「やり切る構造改革から成長投資と利益創出のフェーズへとチェンジした。持続的に高収益を創出する企業へとステージアップする」と話した。
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