ヤフーは7月27日、IoT製品やウェブサービスのAPIを集めた事業者向けプラットフォームサービス「myThingsプラットフォーム」の提供を開始した。IoT分野での取り組みの基盤とし、今後、協力を得た事業者と連携しながらプラットフォームを拡充していく考え。IoT分野の事業を始めることは2014年12月に発表していた。
事業者はプラットフォーム上に公開されているAPIを使い、新製品/サービスを開発したり、既存製品/サービスの機能を拡充したりできる。また、自社製品/サービスのAPIをプラットフォーム上に公開して他事業者に提供できる。クラウドシステムは「Microsoft Azure」を採用、「Mashery API マネジメント」やヤフー傘下のIDCフロンティアが提供する「IDCA Cloud」にも対応する。
当初連携している製品/サービスは、シャープやソフトバンク、インテル、マイクロソフトなどの企業が提供するものをはじめ、Gmail、YouTube、Facebook、Twitter、Evernote、Dropbox、Slack、はてなブックマーク、スマートフォンを鍵にしてドアの開け閉めができる「Akerun」など。
将来的には、大手から中小企業、個人までを問わず、あらゆる事業者と開発者がAPIを利用できるようにオープン化する計画だ。
ヤフーの執行役員でCMO(Chief Mobile Officer)である村上臣氏は「サービスを組み合わせることで新しいサービスを生み出せるのが、myThingsプラットフォームの1つの特徴。すでにさまざまなプラットフォームが提供されているが、我々は全開発者にオープンな形で提供する。オープンなエコシステムの中で、より大きな力を持たせていきたい」と今後の方針を語った。
同日、myThingsプラットフォームを活用して開発した、消費者向けのスマートフォンアプリ「myThings」も公開。利用は無料。単体のサービスや製品では体験できない、“組み合わせ”による体験を提供するという。
たとえば、動画サービスで好みの動画が公開されたらその動画のURLを自動的に保存して見逃しを防いだり、インターネットに接続された室内温度計が一定の温度を超えたらメールで知らせて熱中症の予防につなげたりできるそうだ。
当社組み合わせられるサービスや製品のAPI(チャンネル)は、ヤフーが提供する各種サービスや、前述したmyThingsプラットフォームとの連携サービス/製品など計30件。サービス/製品の組み合わせを決定し、日時などの条件を指定することで、その通りに動作するようになる。
ヤフーがIDCフロンティアと協力して提供する「IDCF」チャンネルを利用すれば、個人開発者が自作したIoTデバイスと連携させることもできる。たとえば、シングルボードコンピュータとセンサを接続して、計測データの収集とアプリへのプッシュ通知を可能にしたり、気象情報サービスの天候データとエアコンのオン/オフを連動させてコントロールしたりできるそうだ。プロトコルはMQTT、WebSocket、REST APIに対応。通信ブローカとセンサデータを保管して可視化するための構成イメージをGitHub上で配布できる。
ヤフーのスマートデバイス推進本部 アプリ開発室室長の椎野孝弘氏は、同日の発表会見で、IDCFチャンネルの活用例として「アボカドの水分の含有量を計測して、その記録をSlackに通知させるソリューション」を披露し、「こんなこともできるんです!」と興奮気味に話した。あわせて、IDCFチャンネルの利用時に同様のシステムを構成するための「スターターキット」を販売する計画も明かした。
myThingsプラットフォームとmyThingsのマネタイズの方法や時期は未定。1つの案として、APIを利用した個別サービスで課金をすることなどを検討しているそうだ。
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