デザイン面での特に大きな問題は、サブメニューが多すぎてどこにいるかわからなくなってしまうこともあり、メインページまで戻るのに何階層も戻らなければならないことだ。また、あまり整理されておらず、プレイリスト、アルバム、ビデオといったグループが、どういう順序でまとめられているのかよくわからない。筆者は早くもSpotifyが恋しくなった。Spotifyの方がすっきりとしたデザインで、すべてがわかりやすく配置されているからだ。
このデザイン上の問題は、iPadのApple Musicアプリや、コンピュータ上のiTunesを使っている分には、いくぶん軽くなる。スクリーンが大きくなり、アプリに詰め込まれた音楽やその他のコンテンツすべてを表示するスペースが広がるからだ。だが、賭けてもいいが、ほとんどのユーザーはApple Musicをスマートフォンで使うはずなので、インターフェースが窮屈で使いにくいと感じるだろう。
レイアウトの問題を別とすれば、Apple Musicは白を基調として、全体的に彩り豊かで写真を多用した美しいアプリだ。デザインは「iOS 7」と「OS X Yosemite」で導入されたフラットデザインにのっとっている。筆者のようにフラットデザインのファンであれば、Apple Musicも気に入ることだろう。ただし、ひととおり操作がわかってからの話だ。
他の音楽ストリーミングサービスと同じく、Apple Musicでもインターネットを介したストリーミングによって、購入していない楽曲を再生することができる。月額料金を支払うことで、iTunesカタログの3000万曲にアクセスできるようになる(カタログ全体は、全世界で4300万曲に達する)。1300万曲の差は、Apple Musicではストリーミングできない楽曲の分だ。提供されない理由は、アーティストがストリーミングを許可していないか、特定の地域で利用できない楽曲かのいずれかである。
特に目立つのは、The Beatles、Prince、Garth Brooks、Toolが含まれていないことだ。Taylor Swiftは当初、Apple Musicへの楽曲提供を拒否する意向を示していた(Spotifyからは自身の楽曲を削除した)が、後になって考えを変えた。現在はTaylor Swiftのほぼすべての曲をApple Musicで聞くことができる。ストリーミングで利用できない楽曲は、検索してもまったく表示されない。残念ながら、ストリーミング不可の曲を購入できる「iTunes Store」へのリンクも表示されない。
ストリーミングで利用できる楽曲は、ほとんど自分が所有しているのと同じように扱うことができる。プレイリストに追加することも、スマートフォンやタブレットにダウンロードしてオフラインで聞くことも可能だ。ただし、それらの楽曲を実際に所有するわけではないので、Apple Musicを解約すれば聞けなくなってしまうことに注意してほしい。
一部の楽曲はApple Musicのカタログにないため、同サービスに組み込まれているiCloud Music Libraryという新しい機能を利用して、各ユーザーが自分のコレクションから楽曲やアルバムをアップロードするようAppleは推奨している。
年額25ドルのサービスiTunes Matchと似た仕組みで、自分が所有している楽曲ファイルをクラウドに保存し、自宅のコンピュータから離れていてもストリーミングできるというものだ。iCloud Music Libraryでは、iTunesで購入した楽曲、CDのリッピングや他のデジタルストアでの購入またはダウンロードによってコンピュータ上のiTunesに追加した楽曲、他の手段で入手した楽曲すべてがスキャンされる。
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