Appleは先ごろ、独自の音楽ストリーミングサービスを発表した。「Apple Music」というシンプルな名称で、音楽業界における覇権とユーザーの財布をめぐって、「Spotify」や「Rdio」「Rhapsody」などのサービスとしのぎを削ることになる。
Apple Musicは、最も有名なストリーミングサービスとされるSpotifyと料金も機能もほとんど変わらないが、どのような点に違いがあり、どこが優れているのだろうか。下の表では、両サービスを並べて類似点と相違点を詳しく分析してみた。
Apple Music | Spotify | 月額料金 | 9.99ドル* | 9.99ドル | 無料オプション | あり(機能制限付き) | あり(広告付き) | 無料試用期間 | 3カ月 | 30日 | 宣伝されている音楽ライブラリの規模 | 3000万曲 | 3000万曲以上 | ファミリー共有 | あり(6ユーザーまで月額14.99ドル*) | あり(追加ユーザー1名あたり月額5ドル) | オフライン利用 | あり(有料サブスクリプション) | あり(有料サブスクリプション) | アプリの対応 | iOS、Mac、Windows(Apple TVとAndroidには2015年秋に対応予定) | Windows、Mac、PlayStation 3以上、Android、iOS、Windows Phone |
*世界各国の価格は未定。
ミュージックカタログが充実していないストリーミングサービスに、魅力などあるだろうか。この点においてApple MusicとSpotifyはほぼ互角であり、ともに3000万曲を提供するとしている。だがApple Musicでは、契約のないアーティストでも同サービスを通じて楽曲を公開できることから、他では聞けない楽曲がさらに増える見込みだという。両サービスとも楽曲数はユーザーが満足できる規模のはずだが、特に新進のアーティストの楽曲ということになると、Apple Musicの方が多くの曲を揃える可能性もある。
SpotifyでもApple Musicでも、自分が所有している楽曲でストリーミングカタログを補うことが可能だ。Spotifyの場合、コンピュータから音楽ファイルを追加してプレイリストに追加すれば、ストリーミングトラックとあわせて聞くことができる。Apple Musicの場合、ユーザーがこれまでiTunesに追加してきた楽曲が、CDからリッピングしたものもiTunes Storeで購入したものも含めて、自動的に追加される。
SpotifyとApple Musicのどちらにもラジオの機能はあるが、その仕組みは大きく異なる。Apple Musicの「Beats 1」ラジオステーションは、毎日24時間、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスから全世界にライブ放送される。AppleはBeats 1を運営するためにDJを雇っており、素晴らしい音楽を流すだけでなく、音楽や音楽文化の注目トピックに関する議論や、独占インタビューも放送すると約束している。
Apple Musicのラジオステーションも利用でき、いわゆるミュージックエキスパートが作成したジャンルに基づいて楽曲が提供される。ここでは楽曲をスキップしてステーションを調整することができる。
Spotifyにはライブ放送のラジオ機能こそないが、好きなアーティスト、ジャンル、楽曲、プレイリスト、アルバムに基づいてステーションを作成すれば、その好みに合った楽曲が検索される。これらのラジオステーションは基本的に、いつでもエンドレスに再生できるオンデマンドのプレイリストだ。楽曲に、気に入ったか気に入らないかの評価を付けることで、Spotifyがユーザーの音楽の好みをさらに把握できるようになる。
ユーザーの音楽の好みを理解して、おすすめの楽曲を提案する機能は、ほぼすべてのストリーミングサービスに用意されており、SpotifyとApple Musicも例外ではない。だが、両サービスのアプローチにはわずかな違いがある。
Apple Musicは、「Beats Music」リコメンデーションエンジンを使ってユーザーの好みを学習し、新しいおすすめを継続的に検索する。最初にアプリを起動したとき、お気に入りのアーティストやジャンルを選ぶことができ、楽曲を聞いているうちに、「For You」タブにおすすめの曲がどんどん追加されていく。Apple Musicのおすすめは単にアルゴリズムを使って生成するだけではなく、実際の人間がプレイリストをキュレーションし、楽曲を選ぶこともあるというのがAppleの売りだ。
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