(編集部注:米CNETによるAmazon「Kindle Paperwhite」のレビューを前編と後編に分けて翻訳して公開します。前編は7月13日に公開しています)
前編より続く。
「Kindle Voyage」では、ほぼ14ページめくるごとにスクリーンが明滅して更新された(この数値はかなり一定だ)。新しい「Kindle Paperwhite」の場合、ページをめくり続けてもスクリーンが明滅しない。50ページ前後めくると、E Inkの「ゴースト」(残像)が少し発生する。スクリーンから残像を消すには、端末の電源を一瞬オフにしてもいいし、必要な場合にはページめくりのたびにスクリーンが明滅するように設定することもできる(ただし、ページ明滅の設定をそれ以上に調整する機能はない)。Amazonがこれと同じページ明滅の設定をソフトウェアアップデートでVoyageに実装する可能性もあるが、筆者がレビュー用サンプルとして持っているVoyageでは本稿執筆時点で確認できなかった。
搭載されていないハードウェア機能が1つあるとすれば、AmazonがKindleシリーズでこれまでに一度も導入していない防水機能だろう。Koboは、「Aura H20」で防水機能に対応している。なかなか良い追加機能だが、Kindleをプールや海に落とす人がどれだけいるのかはわからない。
スクリーンの改良に加えてAmazonが売りにしているのは、「デジタルスクリーンでの読書に合わせてゼロからデザインされた専用フォント」である「Bookerly」と、「著者の意図したとおりに語句をレイアウトする」新しいタイプセッティングエンジンの追加だ。
新しいエンジンでは、文字間隔が改善されるほか、ハイフネーション、行端揃え、カーニング、合字(リガチャー)、ドロップキャップなどのサポートが追加される。Amazonによれば、こうした新機能によって読むスピードが上がり、目の負担も軽くなるという。
新レイアウトには当初、約50万タイトルの電子書籍が対応し、今後数カ月でさらに増えることになっている。読書体験をわずかながら強化し豊かにする変更の1つではあるが、標準のフォントサイズで読書している人にとっては、それほど大きな感動はないだろう。
レイアウト変更が特に役に立つのは、フォントサイズを大きくして、1行当たり数単語だけの表示にしたときだ(視力が低い人の多くが電子書籍を好む主な理由は、フォントサイズを調節できることにある)。新レイアウトでは、フォントを大きくしても1行当たりの単語数がこれまでより多くなる。
ディスプレイ解像度の向上は、Amazonの「Word Wise」機能を使うときにも役立つ。Word Wiseは難しい単語の上に簡単な定義が小さなフォントで表示される機能で、解像度が高い方が小さな文字を読みやすいからだ。表示される定義の量を調整(本当に難しい単語だけに限定)することも、この機能を完全にオフにすることもできる。
Amazonは長らく、電子書籍リーダー向けの極めて強固な機能のエコシステムを提供しており、そのプラットフォームは成熟を続け、さらに多くの機能が追加されている。子ども向けの「Kindle FreeTime」と、「Vocabulary Builder」(調べた単語が自動的に追加される単語帳)は現在、同社のE Ink式Kindle全製品に搭載され、「X-Ray」機能(書籍内の主な一節や登場人物を相互参照する機能)も強化された。Amazonが2013年に買収した読書と書評のソーシャルサイト「Goodreads」も統合されている。
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