弥生は7月7日、小規模法人をターゲットに据えたクラウド会計サービス「弥生会計 オンライン」を発売した。取り引き入力から集計、決算までの会計業務をこなせる。弥生の代表取締役社長である岡本浩一郎氏は「まだ会計ソフトを使ったことのない人に使ってもらいたい」と語る。今後、2016年3月にかけて機能を拡充していく計画だ。
銀行明細やクレジットカードなどの取り引きデータを自動で取り込み、仕分けする機能がサービスのウリ。自動仕分けは学習機能があり、使うほどに精度が上がるという。ただし、この機能は10月に対応予定であり、現時点では利用できない。
対応を遅らせた理由として、岡本氏は発表会見の席上、他社の家計簿アプリに導入されている銀行口座やクレジットカードとの連携機能のセキュリティ面に触れ、「法人として、求められるセキュリティレベル、問題が起きた時の影響範囲が広いため、社内での議論の結果、あえてこのタイミングでは見送った。『これならいける』と確証を得た上で10月に出したい」と説明した。
なお同社はすでに、個人事業主などに向けた、外部アプリケーションやサービスと弥生シリーズを連携できるソフト「YAYOI SMART CONNECT」を家計簿アプリなどと連携させている。しかし岡本氏は、「家計簿アプリに金融機関のIDやパスワード、ものによっては乱数表をも保存しているのは本当にいいのか、正直懸念している。お客さまがリスクを理解した上で使う分には全く問題ないと思うが、お客さまがどこまでリスクを理解しているかというと、疑問には思う」とした。
12月には、スキャナで読み取った証憑(しょうひょう)類を光学式文字読取装置(OCR)で処理して取り引きデータを生成し、取り引きデータを仕訳データに自動変換する機能を実装する。2016年1月1日に電子帳簿保存法が改正され、証憑類の電子保存に対応することを受けての新機能だ。また2016年3月には、デスクトップ版の弥生会計との双方向でのデータ連携を始める。
料金プランは3つで、いずれも全ての機能が利用できる。最大2カ月無料になる「無料体験プラン」、年額税別2万6000円の「セルフプラン」、年額税別3万円の「ベーシックプラン」があり、ベーシックプランのみ電話やメールでのサポートが受けられる。また、スタートアップ企業が有料プランの内容を1年間無料で利用できるキャンペーンなども実施し、新規顧客の獲得を狙う。
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