freeeは6月23日、会社設立に必要な書類を最短5分で作成できる新サービス「会社設立 freee」を提供開始した。画面の案内に従って必要事項を入力していくことで、複数の書類をまとめて作成できる。基本利用は無料。おおよその年間の会社設立登記数10万件のうち、3割程度の利用を見込み、クラウド会計ソフト、給与計算ソフトの利用事業所の増加につなげたい考えだ。
銀行口座の開設から実印の作成、設立登記書類の作成までを一貫して処理できるのが特徴。ジャパンネット銀行と業務提携し、同サービスを経由する新会社は簡単な審査で銀行口座を開設できるようにした。また、ハンコヤドットコムと組み、書類を準備する流れの中で、会社の実印など必要な印鑑を発注できるようにした。
代表者の氏名や会社の所在地など、一度入力した情報を他のすべての書類や手続きに再利用(自動反映)できるため、同じ内容を繰り返し書く手間を省ける。画面上のアイコンから専門家のサポートを受けられる有料機能も設けた。PCだけでなくスマートフォンにも最適化されており、「喫茶店でコーヒーを飲みながらスマホで会社を立ち上げる」(freee代表取締役の佐々木大輔氏)ことも不可能ではない。
設立後のサポートも用意した。法人は決算や資本金の減少時にその旨を公開しなければならず、その方法として、電子公告や官報への掲載などの手段を用いている。freeeではこの電子公告をオプションサービスを提供する。官報に掲載する場合には「1回」につき約6万円がかかるが、freeeは料金を「1年」で1000円に設定した。
会社設立の手続きには、定款や株式会社設立登記申請書など複数の書類が必要になる。たとえば、freeeが発起人2人、取締役2人で会社を設立した際には、23通以上の書類を準備したという。
またfreeeが6月に実施したアンケート調査によれば、多くの会社設立経験者が、会社設立の手続きに2週間以上かかっており、全体の3割は設立に1カ月以上を要しているという。さらに約半数が、定款認証費用や登録免許税など、会社設立に不可欠な費用(約25万円)のほかに「10万円以上かかった」と回答。専門家に相談したり、会社設立の解説書籍などを購入したりする人が多いようだ。
「日本は新しいサービスが立ち上がる割合が少ない」と佐々木氏は話す。実際、世界銀行が発表した「Doing Business 2015」では、「Ease of Doing Business Rank(ビジネスのしやすさ)」で29位につけている日本が、「Starting a Business Rank(ビジネスのはじめやすさ)」(手続きの数や費用、日数などから算出)は83位との結果になっている。
政府は「日本再興戦略」(PDF)のKPIを“開業率が廃業率を上回る状態にし、米国・英国レベルの開・廃業率10%台(現状約5%)を目指す”と設定している。佐々木氏は「今回のサービスを利用した上で『ビジネスのはじめやすさ』を試算すると、45位にまでランクが上がり、46位の米国よりも順位が上になる」とし、開業率10%の到達に寄与することを期待する。
今後、「合同会社」などの設立にも対応させる予定。また、電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)」の外部連携API(政府API)なども活用していく。「手続きの数を減らせれば、日本の起業環境は圧倒的に改善される。現在は紙に印刷することを前提にしてサービスを作っているが、政府の動きにあわせて、可能な部分はプリントアウトをせずに、サービス上からワンクリックで会社を設立できるようにしたい。改正電子帳簿保存法やマイナンバー制度にも期待している」(佐々木氏)。
◇「クラウド完結型社会」目指すfreee
給与計算ソフトのfreee、政府APIでクラウド完結型に--電子帳簿保存法にも対応
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