フィリピンのインターネット普及率は、2014年にニールセンが実施した調査によると52%。2010年の27%から約2倍増加した。同国は一週間あたりの平均ネット利用時間が約27時間と東南アジアで最も長い。背景には、同国におけるスマートフォン利用者が増加し、デスクトップPCよりも気軽にデジタルコンテンツへアクセスする機会が増えたことなどがある。
最も利用されているコンテンツはSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で、その次にモバイルゲーム、そしてオンラインチャットと続く。SNSの利用者は、全体の95%と極めて高い。
このように急速に拡大するスマートフォン向けコンテンツの需要に応える形で、フィリピンにおけるデジタルコンテンツの形も変わりつつある。それを象徴するサービスが、同国初のソーシャルニュースサイト「Rappler」である。
Rapplerはフィリピン国内のニュースを配信するサイトで、言語はインドネシア語にも対応している。サービス名は、“Rap”(おしゃべり)と“ripple”(感情の波紋)を掛けあわせた造語で、人々の主張を後押ししたいという思いが込められている。
サイトで配信されるニュースは、ビジネス、エンタメなど12のカテゴリに分かれており、記事だけでなく動画コンテンツも配信している。iOSとAndroidOSに対応するアプリも提供している。
実は2011年の開始当初は自社サイトはなく、Facebookページで「MovePH」と言う名称でニュースを配信していた。翌年の2012年1月1日より、いまのRapplerというサイト名で運営されている。
「ソーシャルニュースサイト」という言葉はあまり馴染みがないかもしれないが、Rapplerが運営するフィリピンの災害情報をリアルタイムに共有する「AgosProject」にその特徴が表れている。サイト内の「Disaster」ページからアクセスできるページで国内全土のハザードマップを提供しており、ユーザーはSNSと連携させることで自分が今いる場所の災害の状況をリアルタイムでマップ上に投稿することができる。
投稿する際は、その状況の危険度に合わせて「インフォアラート」「レスキューアラート」「洪水アラート」のいずれかを選択することも可能。また、ハザードマップでは過去の台風のデータを元に、洪水や地すべりが起きやすい地域をマッピングして表示させる機能もあり、豪雨が起きたときにはこれを利用することで危険地帯を避けることができる。
この機能は、2013年にフィリピンを襲った大型台風「ハイエン」による被災をきっかけとして生まれた。政府のトップダウンの力と民間活動によるボトムアップの力を掛け合わせて、災害対策を推進しようという目的のもと開発されたものである。災害が起こっていないときにも、自分がいる場所の天気情報を写真とともにレポートすることができる。
ソーシャルニュースサイトとしてのもう1つの特徴は、記事コンテンツに触れたユーザーの感情を可視化していること。ユーザーが「ソーシャルボタン」を使って記事をシェアする際に付けるコメントから、いらだち、悲しみ、幸せなど感情を読み取り、それをランキング形式で可視化する。
またRapplerは、独自の放送局を持っており、毎日正午と18時にアジアや世界で起きた最新ニュースのサマリーを、ニュースキャスターが動画コンテンツで配信している。
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