クラウド型データマネジメントサービス(DMS)を提供するトレジャーデータは、1月にアジア展開の足がかりとして韓国に営業拠点を開設した。
アジアではスマホや家電の普及でデータが爆発的に増加している。またこの急増するデータ、いわゆる「ビッグデータ」をどのようにマネジメントし、そこから価値ある情報を読み取り、売り上げにつなげていくのかが大きな課題となっている。
この課題に対して同社のサービスがもらたすベネフィットは大きい。これまで米国と日本で事業展開してきた同社がどのようなアジア展開を計画しているのか、マーケティングディレクターとしてアジア市場を担当している堀内健后氏に聞いた。
当社は、2011年に米シリコンバレーで設立されたベンチャー企業です。創設者は、ソフト開発の米レッドハットや三井ベンチャーズで勤務経験のある芳川裕誠、日本のHadoopコミュニティの中心的なメンバーであった太田一樹、そして分散インフラ技術「MessagePack(メッセージパック)」などを開発した古橋貞之の3人です。2012年に事業開発と技術開発拠点として東京に日本法人を設立しました。
当社が提供しているのは、クラウド型データマネジメントサービス(DMS)です。DMSとは、POSの購買データ、ウェブのアクセスログ、家電・自動車のセンサデータなど、日々生み出される「ビッグデータ」を管理・分析するためのプラットフォームといえます。これまでのデータ管理はスプレッドシートなどを使い人手で行われていましたが、このような方法では管理できない膨大なデータを管理することができます。通常ビッグデータは自社のサーバなどを使うため初期費用がかかってしまいますが、当社はクラウドDMSサービスを月額課金で提供しており、初期コストをかけずビッグデータを管理することができます。
当社サービスの根幹となっているのは、分散処理することで大規模データを集計・解析することができる「Hadoop(ハドゥープ)」です。少し前に話題となったの技術なのですが、実際に使いこなせる技術者がまだ少ないのが現状です。導入し、運営する上で、そもそも人材が不足しているという課題があるのです。また人材を確保できたとしても人件費やシステム構築や運用管理にかかるコストが膨大となってしまうのも、データの活用が進まない要因になっていました。これらの課題を解決するために、クラウド型でかつ月額ベースで利用できるサービスを提供し、顧客の課題を解決しようと事業を展開しています。
日本では大手ゲーム会社やアドテク系企業で導入されています。ゲーム会社では、スマホゲームのアクセスログを集計・解析することで、ゲーム利用者が何時間プレイしているのか、どのレベルでやめてしまったのかなどの情報を取得し、そこから次の施策を考えることができます。
現在力を入れているのが、家電や自動車など製造業における「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」です。当社はセンサデータの集計・解析にも強みを持っています。家電や自動車などのセンサデータを活用したいと考える企業への導入を増やしたいと考えています。またウェアラブルデバイスを開発しようとする企業への導入も増やしていきたいです。
グローバル展開への布石としてまずはアジア地域での事業拡大を考えています。アジア地域の中で、日本と市場が類似しているのが韓国だったので、アジア展開の第1弾として選びました。類似点は、スマホが普及していること、それに伴いスマホゲームも盛んであること、さらに家電や自動車も普及していることなどが挙げられます。
1月に開設したばかりでまだ手探りの部分が多いものの、データを活用したいと考える企業は多く、良い感触です。現地のパートナー企業を探していますが、興味を持ってもらうことが多いですし、大手企業もすんなりと話を聞いてくれます。また、試しに利用してみたいという企業も多いです。
まだ明確なことは決まっていませんが、シンガポールと中国を有力市場として考えています。シンガポールは市場としては小さいのですが、周辺国へのゲートウェイとして捉えると、進出するメリットが大きいと考えています。インドネシア、マレーシア、タイなどアジア新興国では中間層の拡大に伴いスマホや家電が急速に普及し、Eコマースの利用も増えています。データ活用のニーズが高まるのは間違いないと思います。
中国は、13億の人口を抱える巨大市場であり、スマホ、家電、自動車の普及が伸びており、データ活用のニーズは高まると見込んでいます。当社のサービスがクラウド型のため、ネットワークに関する規制など障壁があるかもしれませんが、今後の伸びしろを考慮すると有望市場になり得えるでしょう。
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