ソニー、新規事業を後押しする「FirstFlight」始動へ--3つのプロジェクトを公開

加納恵 (編集部)2015年07月07日 07時30分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 新規事業創出プログラムプロジェクトの1つである「MESH」

 ソニーは7月6日、新規事業創出プログラムとして取り組んでいるプロジェクトの内容を紹介するイベント「Seeds Messe」をプレス向けに開催した。合わせて7月1日に発表したクラウドファンディングとEコマースのサービスを兼ね備えたサイト「First Flight」についても説明した。

  • 新規事業創出プログラムの流れ

 ソニーは2014年4月に新規事業創出部を設立。従来の組織や事業体系の枠をこえる商品や事業の創出を支援、育成する社内体制を整えてきた。今回Seeds Messeで披露されたプロジェクトも、新規事業創出の一部として立ち上げてきたものになる。

 会場で紹介された新規プロジェクトは、米国でも販売を開始したスマートDIYキット「MESH」、First Flightで予約販売中の「FES Watch」、新規事業創出プログラムの第1回オーディションを通過した「HUIS REMOTE CONTROLLER(ハウスリモートコントローラー)」の3つになる。

 MESHは、電子タグと専用アプリを組み合わせて、デジタルなものづくりができるスマートDIYキット。電子タグは「Move」「Button」「LED」「GPIO」の4つが用意され、「MESHキャンバス」と呼ばれるアプリ上でMESHタグのアイコン同士をドラッグ&ドロップでつなげると、実際のMESHタグを連携できるというもの。

 アプリでは、そのタブレットのマイクやスピーカー、カメラなども「ソフトウェアタグ」として連携できるため、MESHタグの動作とともにタブレットで、写真撮影や録音した音を再生することも可能だ。MESHを手がけた新規事業創出部の統括課長である萩原丈博氏は「生活の中でこんなことあったらいいのに、と思うことを簡単に身近なツールでできるようにしたのがMESH。身の回りにあるものが自分の手で変えられることをもっと多くの人に体験してほしい」と開発のコンセプトを話した。価格は5980円~。日本国内においては、FirstFlight内で販売中だ。

  • 新規事業創出部の統括課長である萩原丈博氏

  • 電子タグと専用アプリを組み合わせて使うスマートDIYキット「MESH」

  • Moveタグを使った参考展示。筋トレすると「がんばれ」とメッセージが

 FES Watchは、文字盤とベルトを電子ペーパーで仕上げた腕時計。ファッションとテクノロジを融合する「Fashion Entertainments」の第1号商品になる。文字盤横に設けられたボタン1つで、文字盤とベルトの柄を一瞬で変更できることが特徴で、デザインは24通り。

 FES Watchの統括課長である杉上雄紀氏は「テクノロジは、モノを便利にする方向性もあるが、ここでは身に付ける喜びを高める方向に使っていきたい。SF映画のような未来感のある体験ができる」と、時計の新たな形を示した。価格は2万9700円。FirstFlight内で予約販売中だ。

  • 新規事業創出部の統括課長である杉上雄紀氏

  • 「FES Watch」。ブラックのバンドにホワイトの文字盤の時計

  • ボタン1つで金属風のベルトとブラックの文字盤に変更した

 HUIS REMOTE CONTROLLERは、FirstFlight内でクラウドファンディングを実施しているプロジェクトだ。家電のリモコン信号データベースを内蔵し、メーカー名と商品を入れるだけで、リモコンの登録を実現。必要なボタンだけをピックアップして使うことができる。

 モニタ部には電子ペーパーを使うことで、押したいボタンを持つ前に見ることができ、視認性も確保。加速度センシング技術により、素早い起動も実現する。統括課長の八木隆典氏は「家電のインターフェースを進化させることで、家電の使いやすさが変わる。HUISは自分の必要なボタンだけをまとめられる、持ってすぐ使えるなどを実現したリモコン」と、魅力を話した。

  • 新規事業創出部の統括課長である八木隆典氏

  • 「HUIS REMOTE CONTROLLER」

  • スワイプやボタンを押すなどの動作で操作できる。ボタンを押すときは振動で知らせてくれる

 これらの新規プロジェクトは7月7日~10日、18~20時の間、東京・品川のソニー本社にある「Creative Lounge」で、タッチ&トライコーナーを設け、一般ユーザーにも開放する。

  • 「Creative Lounge」の一角

 Creative Loungeは、新規事業創出のために作られた社内のコミュニケーションスペース。3Dプリンタなどをそろえ、プロトタイプが作れる環境として用意された。このほか「Creative Lounge SNS」や異業種とのワークショップなども開催し、新規事業の創出をサポートする。

 ソニーでは、こうした取り組みを「Seed Acceleration Program(SAP)」と名付け、支援しているとのこと。新規プロジェクトはオーディションによって選出し、事業準備室などを経て、商品化にこぎつける。


新規事業創出部担当部長である小田島伸至氏

 新規事業創出部担当部長である小田島伸至氏は「新規事業を手がける着目ポイントは個人の事業化能力が高いこと、周りの人を巻き込む力が強いこと、ベンチャースピリットがあること。大企業では、仕事が細分化されプロフェッショナルは生まれてきても、最初から最後まで、すべてを手がける機会には恵まれていない。そうした事業経験をつめるようにすることで起業家人材を育てていきたい。また、新規事業では徹底的にユニークさにこだわり、事業部でやれることはやらない」と、新規事業プロジェクトについて話す。

 事業化を判断するポイントとしては「第一に人を見ている。次に案件の斬新さ、そしてビジネスモデルがきちんと描けているかで見極めている。ソニー内には、何十年もかけてビジネスを作り上げてきた有識者やスキルをもった経験者がたくさんいる。そうした経験者と新規事業プロジェクトのメンバーをつなげていくことは、ソニーならではの仕組みだと感じている」と、ソニー内における新規事業プロジェクトについてコメントした。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加