欧州連合(EU)圏内に住む人々は2017年半ばから、携帯電話で同圏内のどこへ電話をかけてもローミング料金を支払わずにすむようになる。
欧州委員会は現地時間6月30日、EU全域における電気通信の単一市場を形成し、2017年6月15日から実施すると発表した。こうした移行は、EUにおける電気通信規則の大規模な見直しの一環であり、ほかにもインターネットプロバイダーによるトラフィックの遮断や速度制限、あるいはアクセスの高速化を求めるコンテンツプロバイダーへの課金を防ぐことを目的とする、厳格な「ネット中立性」のルールを導入する予定だ。
この変更が可能になったのは、欧州委員会、欧州議会、欧州理事会が交渉の末に合意に達したからだ。この合意に基づき、消費者はEU圏内でどの国を旅行中であっても、携帯電話、テキストメッセージ、データ通信用に同額の料金を支払うことになる。これはEUを構成する28カ国すべてに適用される。
欧州委員会は以前から、EU圏内のローミング料金を引き下げる取り組みを続けてきた。欧州委員会によると、通話、テキストメッセージ、データのローミング料金は、2007年と比べて80%ほど下がったという。データローミングに関しては、2007年当時よりも91%も安くなった。
2016年4月からはローミング料金がさらに引き下げられる、と欧州委員会は付け加えた。携帯電話事業者が国内での料金に対して追加課金できるローミング料金の上限は、通話1回につき0.05ユーロ、テキストメッセージ1通につき0.02ユーロ、データ1Mバイトにつき0.05バイト(それぞれ付加価値税を除く)となる。欧州委員会によると、新しいローミング料金は、現行の通話およびデータのローミング料金よりも約75%安くなるという。
ローミング料金の廃止のみにとどまらず、EUは2016年4月から独自のネット中立性に関する規則も施行する。
今回の合意の一環として、すべてのデータは平等に扱われ、いかなるデータも遮断されたり速度制限されたりせず、またコンテンツプロバイダーが自社のデータを優先してもらうために料金を払うこともできなくなる。このルールの例外とされるのは、ネットワークセキュリティや、児童ポルノの取り締まりにかかわるものだけだ。インターネットプロバイダーが通常よりも高品位のサービスを提供することは認められるが、それが「開かれたインターネットの質を犠牲にして」提供されるものであってはならない、と欧州委員会は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)