ソフトバンク、ヤフーと「モバイルEC革命」へ--人工知能「Watson」のスマホ搭載も

 「端末の差別化は、なかなか難しい。過去みたいに独占でiPhoneをやっていた時代もあったが、いまどこかのメーカーと独占商品を作っても、AndroidかiOS。そこを求める必要はない。むしろ、そのプラットフォームの上で何を提供できるか、そこに掛かってくる。ステージが変わったということ」

 ソフトバンクモバイル代表取締役社長 兼 CEOの宮内謙氏は、5月19日に開催された2015年夏モデル発表会で、これまで同社が強みとしてきた端末よりも、サービスで他社と差別化していく姿勢を示した。この日発表されたのは、2015年内に提供する2つのサービスだ。


モバイルインターネットのナンバーワンコア企業を目指すと宮内氏

ヤフーとともに「モバイルEC革命」起こす

 まず1つ目が、子会社のヤフーとの連携による新たなモバイルECサービスで、10月以降に提供する予定。ソフトバンクモバイルのスマートフォン利用者は、「スマートログイン」により会員情報やID・パスワードを入力することなく、 「Yahoo!ショッピング」などに自動でログインできるようになるという。

 また、「スマート決済」により、Yahoo!ショッピングでの購入代金を携帯電話料金とまとめて支払えるようになるため、クレジットカード番号や口座番号などの決済情報を入力する必要がなくなるとしている。携帯電話料金の支払いに「ソフトバンクカード」や「Yahoo!カード」を利用している場合、買い物時に通常付与されるポイントに加えて、両カードによる決済ポイントとしてさらに「Tポイント」を貯めたり、使ったりできるようになる。


 宮内氏は、スマートフォン利用者の半数近くが、モバイルショッピングを利用していないとする総務省のデータを紹介。会員登録やログイン、カード情報の登録などの煩わしい作業が利用への障壁になっていると指摘し、新サービスによってこれらの課題を解決したいと語った。

 また、同日にはヤフー代表取締役社長の宮坂学氏が登壇。同社は2013年10月に「Yahoo!ショッピング」のストア出店料と売上手数料を無料にする“EC革命”を打ち出した。その効果は大きく、2013年9月には2万だった出店者は28万に、6000万だった商品数は1億6000万に拡大するなど「日本最大級の売り場ができている」(宮坂氏)。そこで、売り手(商品数)の次は、買い手を増やしていきたいとした。


人工知能「Watson」をスマホに搭載

 2つ目のサービスが、IBMの人工知能「Watson」のスマートフォンへの搭載だ。IBMが開発を進める質問応答システムで、大規模なデータを分析し、自然言語で投げかけられた複雑な質問を解釈して、根拠に基づいた回答を提案する。またクラウドによって継続的に学習する。ソフトバンクとIBMは日本展開について2月に提携していたが、2015年内にスマートフォンに搭載されることが明らかにされた。


 スマートフォンにWatsonが搭載されることで、膨大な医療データから病名や治療法を提示したり、持病や前日の食事内容などから、適切な食事メニューを提案したりしてくれる。また、レベルや理解度を解析して最適な合格プランを提示してくれるオーダーメイド予備校なども実現できるとした。

 宮内氏は、夏に一般販売を開始するヒト型ロボット「Pepper」のように、パートナー企業各社と連携して、さまざまなサービスを提供するエコシステムを構築したいと話す。また、IBMが米国などですでに提携しているパートナーとの交渉も進めているとした。


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