ワシントン大学とGoogleが共同で、1万728件のタイムラプス動画を作成した。世界各地の都市や修復中の有名建築、さらには地質現象といったランドマークが、時間の経過とともにどのように変化したかを示すものだ。例えば地質現象の動画では、氷河が後退する様子や、イエローストーン国立公園で鉱床から温泉が湧き出る様子が、数年間にわたってとらえられている。
動画作成にあたり、研究チームはまず、写真共有サービス「Flickr」などで公開されている写真8600万枚を収集した。次に自動化されたプロセスを使って、例えばカナダのブッチャートガーデンや、ベニスのサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の修復作業など、同じランドマークを撮影した写真を見つけ出した。画像がカタログ化されたら、チームはこれを時系列で並べかえ、時間経過による変化を同じ視点から表示するという困難な作業に取り組んだ。
タイムラプス動画の作成において、このような技法は特殊だ。これまでタイムラプス動画は比較的作成しやすいものだった。カメラを同じ場所に一定期間設置し、変化を記録すればよいからだ。撮影を終えて素材を継ぎ合わせたら、その期間中の変化が映し出される。
しかし今回、画像を継ぎ合わせる作業は容易なものではなかった。使用する写真が、世界中の一般ユーザーによって撮影され、個人的な用途で収集されたものだからだ。視点は当然バラバラで、この問題を解決するため研究チームは「geometric stabilization」(幾何学的安定化)という方法を用いた。この方法では、複雑な数式を使って深度や距離、その他の重要な要素を測定し、焦点を合わせる。その上で、画像の焦点が合った状態が保たれるように画像を組み合わせた。
今回発表された研究論文は、概念を実証し、同様のタイムラプス動画を作成するための技術を他の研究者に提供することが目的だ。しかし、おそらくそれ以上に重要なのは、画像をカタログ化して継ぎ合わせ、タイムラプス動画に仕立てる自動化ツールが開発されたことで、今後このような動画が数多く作成される可能性が出てきたことだ。
「公開素材を用いたタイムラプス動画の規模と遍在性は、世界の変化を視覚化するための新たなパラダイムとなる。オンラインに公開される写真が増えるにつれ、それらを取りだして作成するタイムラプス動画は、より長期間の、より劇的な変化を視覚化できるだろう」と研究チームは述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス