ソフトバンク代表の孫正義氏は、5月11日に開催された決算会見で、2014年10月にソフトバンクに参画した、元Google最高幹部のニケシュ・アローラ氏を、後継者にする意向であることを明らかにした。アローラ氏は、同社のナンバーツーである代表取締役副社長に就任する予定だ。
アローラ氏は、Google入社以前、Putnam Investmentsで通信業界のアナリストとして活躍し、2000年にモバイルデータ分野の会社を設立。また米T-Mobileでは、欧州事業のCMOや取締役などの要職を務めた。ソフトバンクでは米SoftBank Internet and MediaのCEOを務める。
今回、副社長に就任することが発表されたアローラ氏は、実質的な後継者なのかという報道陣の問いに対し、孫氏は「イエス」と明言。「Googleの経営を取り仕切り、テクノロジ、ビジネスモデル、人脈においては、私を遥かに上回るだけの才覚を持っているし、多くを学んだ」とその実力を認める。
また、孫氏はアローラ氏の人柄にも惚れ込んでいるようだ。「お互いに月の半分くらいは顔を合わせているし、共にインドや中国へも出張する。会っていない時も毎日電話でやりとりしている。朝起きたら真っ先に電話するのは彼、寝る直前にかけるのも彼という状況で、ちょっとおかしいんじゃないかというくらい仲良くやっている(笑)」(孫氏)。
引き継ぎの時期やその形については、「私はまだ引退するつもりはないし、若いつもりでいますので、これまでどおり経営の第一線にいる」とコメントを避けたが、「ニケシュが事故にでもあわない限りは、将来彼がもっとも重要な後継者候補だ」と強調した。
これに対し、アローラ氏は「孫社長と5年前に出会い、お互いを知る中で、(Google創業者の)ラリー・ペイジやセルゲイ・ブリンと同じ、ビジネスイノベーターであると確信した。そして、ビジネスにおいても多くのことを孫社長から学べると思った」と、孫氏の思いに応える姿勢を示した。
ところで、孫氏は2010年7月から後継者の発掘や育成を目的とした「ソフトバンクアカデミア」を定期的に開講しているが、その点に触れることはなかった。応募者の中からは候補者が見つからなかったということだろうか。
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