(編集部注:米CNETによる「Apple Watch」のレビューを複数回に分けて翻訳して公開します。続編は後日公開予定です)
筆者は4年前、「iPod nano」を手首に装着してみたところ、とても気に入った。その斬新さも良かったし、手首で音楽を再生できることや、着けたままどこにでも行けるのが楽しかった。筆者は当時、この腕に巻き付ける音楽プレーヤーで、時計表示機能や数種類のアプリを使って、もっと多くのことができれば、と思っていた。また、スマートフォンと連携できるようになる日が来ることも夢見ていた。
そんな日がとうとうやって来る。「Apple Watch」はまったく新しいApple製品であり、「iPad」以来、そしてTim Cook氏が最高経営責任者(CEO)となって以来初めて、ゼロから作り上げられた製品ラインだ。ある意味で、手首に装着するスーパーiPodの新タイプとも言える。また、「iPhone」と共生する相棒のようなデバイスであり、フィットネスデバイスでもある。
これは、スマートウォッチ市場という荒海に向けての船出ともなる。すでに多くのメーカーが、意欲的なウェアラブルをかかげて出航しているが、本当の意味で成功したケースはほとんどない。そもそもスマートウォッチが必要なのかどうか、よく分からないという人がほとんどだ。はたしてApple Watchは、他社が頓挫しているこの市場で成功を収めることができるのだろうか。
Apple Watchは3つのモデル、2種類のサイズ、6種類の仕上げが用意され、さまざまな交換用バンドが提供される。価格は349ドルから、上は1万7000ドルまでと幅広い。最もパーソナルなApple製品となるべく設計されており、技術と同じくらいにファッション性が重視されている。これまでもApple製品のファッション性は高かったが、今回はそれを装飾品の域にまで進めようとしている。
スマートウォッチはいつの日か、スマートフォンに取って代わるのかもしれない。あるいは、スマートフォンと、家庭用デバイスやあらゆるコネクテッドデバイスのシームレスな延長になる可能性もある。だが、現時点での機能はスマートフォンのアクセサリだ。Apple Watchもそれが役割であり、スマートフォンを見る頻度を少なくするという目的で設計されている。Apple製品の画面サイズは大小さまざまだが、その中でもかなり小さな画面と言えるだろう。筆者はときどきスマートフォンの代わりにApple Watchを使って、またスマートフォンに戻った。Apple Watchによって筆者の行動は変わっただろうか。まだ断言はできないが、変わる可能性はある。
筆者はApple Watchを1週間使っている(本稿執筆時点)。毎日手首にはめ、思いつく限り、できることは何でもやってみた。歩数を記録し、心拍数を測り、ランチ代を支払い、公園を散策するときにスマートフォンを持たずにApple Watchで音楽を聞いてみた。家族と会話し、電子メールをチェックし、Uberのタクシーを探して、ニュースを読んだ。過越の祭に向かう長時間運転の間はナビゲーターとして使い、「Apple TV」を操作し、2歳になる子どもの面倒を見つつ、野球の試合をチェックした。
Apple Watchは美しいし、将来性を感じさせる。今あるなかで最も野心的なウェアラブルだ。しかし、第1世代で何もかもやろうとしたために、改善すべき点が数多く残っている。他のスマートウォッチと比べてバッテリ持続時間が短いし、現時点では価格の高さが最大の難点だ。もっともAppleはまだ船出したばかりであり、この先の道のりは長い。
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