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「時代劇」をYouTubeから世界へ--東映の本格撮影セットが都内スタジオで公開

井指啓吾 (編集部)2015年04月07日 18時54分
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 Googleの動画サービス「YouTube」が運営する動画クリエーター向けの撮影スタジオ「YouTube Space Tokyo」(東京・六本木)で、時代劇の撮影ができる特別セットが5月末までの期間限定で公開されている。日本国内のYouTubeクリエイター支援の一環として、YouTubeが東映とパートナーシップを組み「YouTube Space 時代劇 with 東映太秦映画村」として無料で提供する。

  • 時代劇セットは4種類に組み替えられる。写真は「殿様・昼」

 時代劇セットは「町屋」「揚屋」「殿様」「御姫」の4つを組み替えて利用でき、照明を調整することにより雰囲気を変えられる。セットを利用できるのは、従来通り5000人以上のチャンネル登録者数を抱えるYouTubeクリエーターのみ。ただし、それ以外でも、複数のクリエーターがコラボレーションする場合などには、YouTubeに相談することで利用できるようになる可能性がある。

 今回の支援は「学ぶ」「交流する」「創造する」の3つのテーマを軸とする。スタジオ内に撮影用の時代劇セットを組むだけでなく、東映京都撮影所のプロデュースによる殺陣(たて)、衣装、美術、脚本制作、音声、照明などの技術を学べるワークショップを開いたり、映画監督の李闘士男氏のコンサルテーションが受けられる機会を設けたり、時代劇をテーマにしたクリエーター向けの交流会を開いたりする。また、一部のクリエーターには東映太秦映画村での撮影機会を提供するという。

  • 東映京都撮影所所長の竹村寧人氏

 東映太秦映画村は、時代劇の撮影を生で見られる日本初のテーマパークとして、東映京都撮影所のオープンセットの一部を開放する形で1975年にスタートした。現在は3Dプロジェクションマッピングを導入した時代劇ライブショーなども実施している。YouTubeとの連携は、東映京都撮影所が現在、時代劇の撮影などに関して蓄積したノウハウを継承するべく、国内外のクリエーター向けにワークショップを年に数回開いていた流れから実現した。

 同所長の竹村寧人氏が期待するのは、(1)YouTubeを通して世界中の人々が時代劇に触れて、その魅力を発見する機会になること、(2)若手のクリエーターと現場のプロフェッショナルが接することで、“新しい形の時代劇”ができる可能性があること、(3)時代劇という1つのツールを使って、日本の伝統を世界に発信できることなど。「有意義なプロジェクトであると確信している」(同氏)。

  • グーグル YouTube Spaces アジア太平洋統括部長のマクドナルド・デービッド氏

 一方でYouTube側が時代劇に着目したのは「日本の文化の中に昔からある、伝統的なストーリーテリングの仕組み」であり、クリエーターの育成につながるため。グーグル YouTube Spaces アジア太平洋統括部長のマクドナルド・デービッド氏によれば、江戸時代などの歴史的なセットでの撮影を求める要望をクリエーターから受けることもあったという。時代劇セットの反響を見て、今後、時代劇とは異なるストーリーテリングの仕組み(舞台セット)も検討するそうだ。

 YouTube Space Tokyoは2013年2月公開。動画の構想から撮影、編集、アップロードまで幅広い作業ができるほか、制作技術を学べるワークショップや、クリエーター同士の交流イベントなどが開かれている。東京に加え、ロサンゼルスやロンドン、ニューヨーク、サンパウロでも運営されており、2015年2月時点で累計2万5000人が来場、3000作品異常の動画が制作され、計1億回以上再生されているという。

 国内の動画クリエーターを巡っては、YouTubeクリエーターのマネジメントを手掛けるUUUMがアドウェイズと組んでゲームデベロッパー向けの広告サービスを開発したり、サイバーエージェント子会社のCyberZがゲーム実況専用スタジオ「OPENREC STUDIO」を開設したりと、特にゲーム領域が目立ってきた。海外では、Huluの元CEOであるJason Kilar氏らが有料動画サービス「Vessel」を立ち上げ、実績のあるクリエーターを優遇することでYouTubeに対抗しようとする動きもある。

  • 記者説明会で撮影モデルを務めた、人気YouTubeクリエーターの佐々木あさひさん

  • 「御姫・朝」

  • 「御姫・夜」

  • 「町屋の庭・昼」

  • 「町屋・夜」

  • 「揚屋・夕方」

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