SXSWではトレードショーというプロダクトの展示だけでなく、いろいろなところでスタートアップのピッチやセミナーが開催されている。その数は本当に多く10人で行っても全ては見切れないような量だ。
その中で、面白かったのが「Killing Trinkets: 3D Printing Interactive Devices」。Autodesk や Disney Researchでの研究でも知られるレンズプリンティングの研究者と導電インクを組み込んだ3Dプリンタ、Voxel8のCEOのセッションだ。
Voxel8は、複数素材を同時に出力できる、3Dプリンタ。プラスチックを導電インクを同一のプリンタから出力できるので、クアッドコプターなど電子回路を組み込んだプロダクトの出力が可能になる。
クアッドコプターやロボット、そのほかの電子製品は、データとVoxel8があれば家庭でもプリント可能なのだ。これからのプロダクトは電子回路を必要とする複雑なものであっても、流通を介さず「自宅でプリントアウト」して手に入れることが当たり前になるのかもしれない。
3Dプリンタはこの数年でめまぐるしい進化をとげている。回路付きのガジェットがまるまるプリントできるということは、複雑な電子機器であっても「組み立て」が不要であることを意味し、遠隔地であってもデータを送れれば現地でプリントできるということは「流通」が不要になることを意味している。
そうなるとモノづくりや販売のやり口が根本から変わってしまうし、その未来はきっとすぐそこにあるのだろう。
イノベーションを起こすための確かな方法なんてどこにもない。とりあえず思いついた未来をカタチにしてみて、皆の前で披露してみせること。その披露した未来に可能性を感じれば、人々は目を輝かして近づいてくる。
近づいてくる人々の中には取材してくれる人もいるし、そのプロダクトを買う人もいるし、出資する人だって現れる。それにより仮説だった未来は実現に向け、一気にドライブしていく。ここはそんな未来をプロトタイプしていく場所であり、僕らの未来の見本市なのだ。
今年提示された未来のカタチからどんなイノベーションが起こるのかとても楽しみに思いつつも、来年こそは自分達で未来を提案しにきたいと思う。
未来は待ってるよりも、自分で作るほうがずっと楽しいにきまってるのだから。
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