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未来をプロトタイプする場所--「SXSW 2015」現地レポート

神谷憲司(WHITE代表・スパイスボックス執行役員)2015年04月08日 08時00分
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2度目のSXSW Interactive

  • SXSW 2015

 2014年に引き続き、2015年もSXSW Interactiveに行ってきた。SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)とは、毎年3月に米国テキサス州オースティンで開催されるミュージック/フィルム/インタラクティブの3つの部門からなるイベント。今年もその中のインタラクティブに参加してきたので、その模様をレポートしたい。

 SXSWでは異なるジャンルの人間が世界各国から集まり、期間中は町全体がカオスなお祭り騒ぎとなる。街中のいたるところでさまざまな展示、イベント、パーティが催され、たくさんの行例を作っていた。

 街全体の雰囲気は、去年と変わらず凄い活気に包まれていた。去年との大きな違いは、去年のSXSWは参加者の10人に1人がGoogle Glassをかけていて、「Google Glassのある風景」が特徴といっても良いほどだったが、一般消費者向けの販売が打ち切られプロジェクトの「リセット」が発表された今年は、かけている人はほぼゼロになっていた。

  • DailyMotionの展示ブース。一軒家が丸ごと展示ブースになていて、夜になるとパーティが開かれる

  • ドイツのジョイントベンチャープログラム「GERMAN HAUS」の展示ブース

  • 企業のプロモーションもさかんに行われている

 逆に、今年はGoogle Xのセッションで「Google Glassは早すぎた」と語られ、一部メディアでは「失敗」と報じられていたことは印象的だった。あれだけ期待されたプロダクトであっても、わずか1~2年で「失敗」として大きく報じられる。成功も失敗も、ものすごいスピードで消費されていく、それがここSXSWだ。


去年のSXSWの様子

2015年のテックトレンド「サービスをフィジカライズするIoT」

 私が代表を務めるWHITEでは、2015年1月に今年のテクノロジートレンドを発表した。


 その中でこれからのIoTの変化をこう予測している。

 IoTという言葉が流行し始めた時、人々はこぞってモノをインターネットにつなぐ「だけ」のものを作りましたが、その多くは失敗しました。つながった先に有益なものが何もなかったからです。2015年のIoTは、これまでインターネットの世界だけで完結していたサービスが、現実世界とつながるためにデバイスとしてフィジカライズする流れが加速すると予測します。

 Googleが買収して話題となったNestを「人工知能付きサーモスタット」として捉えるのではなく、「快適な居住環境を提供するサービスのためのタッチポイント」として考えることで、温度調節だけではなく、住宅におけるさまざまなサービスを接続するハブとして、また住宅をとりまく周辺環境を改善するためのスマートデバイスとしての価値を引き出すことが可能です。

 今年のSXSWではこういった、IoT、ウェアラブルでサービスをフィジカライズするという視点を持ったプロダクトや、スタートアップ、発表が数多く見受けられたように思う。その意味でIoTを単なるバズワードに終わらせずに、しっかりと成熟させていくためのさまざまなチャレンジを発見することができた。

注目スタートアップ&プロダクト

 ここSXSWで注目を浴びたスタートアップやプロダクトというのは、実はアイデアや技術において新規性のあるものは思ったほど多くはない。

 MITの教授であるエド・ロバーツはこういった――「イノベーション=発明×商業化」であると。

 SXSWでは、単なる発明ではなく、商業化に成功してより多くの人達に普及しイノベーションを起こす可能性があるかどうかが問われているのである。そういう視点から、現地でも注目を浴びていたスタートアップ&プロダクトをいくつかピックアップしてみたいと思う。

EMBR LABS


 体温を自動的に調節して、健康維持を促進するサービスをフィジカライズするブレスレット「Wristify」。活動量を“取得”するだけのウェアラブルから、“健康維持を促進”するウェアラブルに進化している。こういう人間の活動をサポートするIoT、ウェアラブルデバイスは今年多く見られたように思う。


AIを搭載していて好みの音楽を学習、自動的にダウンロードしてキャッシュしてくれるヘッドフォン「aivvy」の展示。「選ぶ」「ダウンロード」するという行為を省略し、シームレスな音楽体験を提供している。

歯ブラシに装着するだけで、磨き方をトラッキングしてくれるデバイスなどもあった。まだプロトタイピング段階だが、実現されれば虫歯予防に大きな貢献がありそうでニーズも高そうだ

WonderWoof


 ヒトのウェアラブルデバイスがヒトの活動をサポートするように、ペットのウェアラブルデバイスはヒトとペットとの距離を縮めてくれる。WONDERWOOFは犬の首輪型につけるウェアラブルデバイスだ。犬の日々の活動をトラッキングして飼い主のスマホにその状況を知らせてくれる。このデバイスにより、犬の気持ちがセンサを介して飼い主に伝えられるのだ。

Feetz


 3Dプリンタを活用したサービスもたくさん展示されていた。Feetzは靴の販売サービスなのだが、アプリで足型を計測して3Dプリンタで靴を出力することができる。靴×3Dプリンタのサービスはいくつかあったがどれも「デザイン」にフォーカスをあてたものが多く「足型」にフォーカスを当てたものはまだ少ないのではないだろうか。

 サービスのコンセプトがいい。「Your feet are personal, why aren't your shoes?」――学生時代にバレエをやっていたこともあり、土踏まずの筋肉が発達し足のカタチが普通じゃない筆者としては(土踏まずが凹まず逆に膨らんでいる)このコンセプトにはグッとくるものがある。

 人間の個性を最大公約数でしかとらえられないマスプロダクトに対し、個性に合わせたプライベートプロダクトのニーズは高い。そして3Dプリンタの普及は流通面でこういったプライベートプロダクトの普及をフィジブルにしてくれる。ただし、このサービスについては3Dキャニングの精度が肝だと思うので、その精度が利便性を感じられるほどに成熟してくれることを期待したい。

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