NECパーソナルコンピュータとレノボ・ジャパンは4月1日付けで社長交代する。両社のコンシューマ事業統括である留目真伸氏が、NECパーソナルコンピュータの代表取締役執行役員社長、およびレノボ・ジャパンの代表取締役社長に就任する予定だ。
新体制では、スマートフォンにも力を入れるという。2015年は「スマートフォン参入元年になる」と宣言した。現社長を務めるロードリック・ラピン氏は、投入時期や端末に関する詳細は避けつつも「グローバルな観点から見て、日本は重要な市場。今年の法規制や政策変更を受けてオープンな市場になる」とコメントした。
Lenovoは、2015年半ばにも同社初となる「Windows」搭載スマートフォン製品を中国で発売すると発表しており、日本への展開も期待される。
このほか、NECパーソナルコンピュータの米沢事業場で、レノボの主力サーバ製品System xの生産を開始することも発表した。対象となる製品は、1Uラック・サーバ「System x3550」、2Uラック・サーバ「System x3650」などのラック・サーバだ。米沢生産は日本市場向けのみを対象にしたもので、これまで2~3週間かかっていた納期を最短5営業日に短縮できる。生産および販売開始は2015年度後半を予定しており、詳細は追って発表するとしている。
ラピン氏は、今回の経緯について「弊社にとって米沢の拠点は、戦略の中でも重要で宝石のような存在。米沢生産に踏み切った理由はいくつかあるが、1つは5営業日で提供できるようになること。1つ目の理由はアベノミクス。円安によってビジネスモデルとして成り立つようになった」と理由を明かした。
2013年6月から両社の社長を務めてきたラピン氏は、「外国人が舵取りをした時代から、日本人によるローカルトップの就任を嬉しく思っている」とあいさつした。なお、今後は4月1日より、レノボ・グループのアジアパシフィック地域担当プレジデントに着任する。
「2020年までに、IT活用力を世界最高レベルにしたい」──社長就任にあたって留目氏は意気込みを語った。
コンシューマも法人市場も、まだ多くの課題があると指摘する。「コンシューマ市場では、PCやスマートフォンは普及しているものの、消費者が楽しめるところにはたどりついていない。PCは書斎に置いてOfficeを使うためだけに存在していることも多く、PCの使われ方はほとんど進化していないし、本当の意味でコンピューティンパワーを活用できていない。法人市場でも同じことが言える。労働時間も含めて生産性が高くない。グローバル化がうまく進んでいない。単にシェアを上げたいだけではなく、本当に必要なITシステムやデジタルライフは何かを真剣に考えながら、世界トップクラスのIT活用力を日本のお客様に提供したい」と説明した。
留目氏は日本電気とレノボの合弁ビジネスの立ち上げに従事した人物だ。大学卒業後は日本企業に就職し、その後はモニター・ブループやデル、ファーストリテイリングとグローバル企業を中心に経験を積んできた。
「初めての会社を日本の企業で勤めたことは、社会人としての原点。日本とグローバルのミックス、“和魂洋才”を大切にしてきている。今後もそこを磨いていき、会社と日本経済の成長に貢献したい」と語った。
Lenovoにおけるグローバルの第3四半期の売上げは、前年比で31%の成長を遂げた。また、M&A関連費用を除く税引き前利益は前年8%増の3億4800万ドルで、今後も「さらなる成長の可能性に前向きな展望を持っている」と好調ぶりをアピールする。
Lenovoは、2014年10月にMotorola Mobilityの買収を完了したほか、IBMのx86サーバ事業を買収するなどし、収益源の多様化を進めている。
レノボとNECの合弁事業が成功した理由について留目氏は、「もともとNECパーソナルコンピュータは、強いものを持っていた。合弁のプロジェクトで苦労したのは、エンドtoエンドの部分。どこまで統合してどこまでしないか。どう会社の強みを評価をするか。ファンクション(担当)ごとに役員と合意していかないとならず大変だったが、当初プランしていた日本の強みとグローバルの強みを取り入れて磨き上げることができた」と分析した。
留目氏は、現状のLenovoについて「グローバルな違いを尊重する文化がある」と説明する。「グローバルの企業にも個性があるが、Lenovoは欧米的なオペレーションではなく、ダイバーシティ(多様化)が進んでいる。経営陣も10数カ国から集まっており、アジアと欧米のミックスで、ロジカルにこれが正しいと決めつけないし、モノの見方の軸が違う。日本人というマイノリティの人間からするとやりやすい企業。文化的な背景にもリスペクトがあり、その中でよいものを作っていこうとしている」と説明した。
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