Appleの最高経営責任者(CEO)を務めるTim Cook氏は3月に発売予定の新書の中で、同社共同創設者のSteve Jobs氏は決して自分勝手な人間ではなかった、と主張している。
2009年、Jobs氏は体調が悪く、腹水と呼ばれる癌の副作用に苦しんでいることが傍目にも明らかで、肝臓移植を必要としていた。「Becoming Steve Jobs」と題されたJobs氏の新しい伝記本によると、Cook氏は調べ物をして、自分の血液型がJobs氏と一致するかどうかを確かめるために検査を受けたという。血液型が適合することが分かると、Cook氏は自身の肝臓の一部をJobs氏に提供すると申し出た。
Fast Companyが抜粋した同伝記本の内容によると、Cook氏は、「『Steve、私は完全な健康体で、検査も受けた。これが健康診断書だ。肝臓を提供しても大丈夫で、それによって危険にさらされることもない。何も問題はない』と私は伝えた。彼はそれを検討することさえしなかった。彼から返ってきた言葉は、『こんなことをしても本当に大丈夫か』でもなく、『考えてみるよ』でもなく、『有り難いが、私の今の健康状態では・・・』でもなく、『答えはノーだ。そんなことは絶対にしない』だった」と話したという。
「Steveはベッドで飛び起きて、その言葉を発した。このやり取りをしたとき、状況は最悪だった。私は13年間、Steveと親交があったが、怒鳴られたのは4~5回だけである。そのうちの1回はこのときだ」(Cook氏)
Jobs氏はほどなく、弱っていく自身の肝臓を救う別の選択肢を得た。2009年4月、同氏は肝臓移植を受けた。その移植手術は事実上、Jobs氏の命を救い、もう少しだけAppleを率いる時間を同氏に与えた。
Cook氏は「Becoming Steve Jobs」の著者であるBrent Schlender氏とRick Tetzeli氏に対して、Cook氏の申し出を受け入れなかったJobs氏の決断は無私無欲の行為であり、同氏のナンバーツーに手術を受けさせたくないという気持ちの表れだった、と語った。このコメントは、Cook氏との長時間にわたるインタビューの中で発せられた。
「Becoming Steve Jobs」は米国時間3月24日に米国の書店で発売される予定だ。
米CNETはAppleにコメントを求めたが、すぐに得ることはできなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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