Steve Jobs氏が2008年初頭、マニラ封筒から「MacBook Air」を取り出し、信じられないほど薄いノートブックを世界に披露したとき、同デバイスはノートブック技術の最先端をゆくものであり、それに見合った価格が設定されていた。
それから7年がたった今、MacBook AirはAppleの「安価」なノートブックとなり、今後もその路線を維持することになりそうだ。
米国時間3月9日に開催されたAppleの報道機関向けイベントでは、その点が強調されただけで、2010年に登場した高解像度「Retina display」の搭載は、またしても見送られた。しかも、Apple最薄のノートブックという地位も、9日に発表された新型「MacBook」によって奪われることになった。新しいMacBookには、圧力感知のトラックパッドなど数々の新機能が搭載されている。
これにより、MacBook Airは苦しい立場に追い込まれた。もはやApple最薄のノートブックではない。最軽量でもなくなった。最高速でもない(プロセッサの性能は「MacBook Pro」の方が強力)。最安というだけになってしまった。
「安価」と「Apple」という言葉を同じ文で使うのは、いささか語弊があるだろう。Appleは自社製品に高い価格を設定する傾向があり、ノートブックも例外ではない。MacBook Airも、2008年には1800ドルからだったが、今では900ドルからとなっており、Appleのノートブックのなかでは最安になったものの、市場の最安ノートブックの価格にはほど遠い。
Appleの関心とイノベーションは新型MacBookに向けられているため、MacBook Airが近い将来に大きくアップグレードされる可能性は低そうだ(もちろん、何事も断定はできないが)。したがって、MacBook Airファンは、少なくとも当面はRetina display搭載を期待しない方がいい。Appleは、さらに薄く、Retina displayを搭載するMacBookに顧客の関心を集めようとしているからだ。MacBookの最安モデルの価格は、MacBook Airの基本モデルより400ドル高い。
Apple関係者にコメントを求めたが、すぐには得られなかった。
とはいえ、MacBook Airでは、プロセッサの性能は強化されるだろう。新型MacBookに採用されたIntelの「Core M」プロセッサは、モバイルデバイスの電力効率の向上と、デザインの薄型化を重視したプロセッサだ。また、ファンや排気口のないノートブックの設計も可能になる。一方、MacBook Airには引き続きIntelの「Core i」シリーズのチップが搭載されるとみられる。このプロセッサでは、処理の高速化のために、電力効率や薄型のファンレス設計が犠牲になる。
MacBook Airはラインアップから姿を消しつつあるわけでもない。9日のAppleのイベントではほとんど取り上げられなかったものの、薄く、(比較的)手ごろな価格のノートブックを求める層に対する入り口となるような製品として、今も重要な役割を担っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス