資本関係のないゲーム開発4社が仕切りなしのワンフロアで業務--相乗効果の狙いを聞く - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2015年03月13日 09時00分
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「とりあえず集まっちゃいなよ!」。懸念よりも勢いとスピード感を重視

--オフィスを見て、本当にワンフロアで見渡せる状態になっていて驚きました。ただ、ゲーム開発となると機密事項の多い業種でもあります。またクライアント側の懸念というのも考えられます。

  • 別の位置からのオフィスの様子

梅田氏:それは一番ネックになる部分ですし、懸念を抱くのは当然かと。相互でNDA(機密保持契約)を結ぶのもありますが、スタッフに対してNDAに関する教育をしっかりと行う前提が必要です。今の段階で細かいルール作りはまだ途中といった状態ですけれども、そのあたりも相互で取り組んでいきます。

茶谷氏:最初ガルチとイルカアップスさんが入っていたとき、リリーと魔神の物語を制作していた関係上、仕切りを入れていたのです。でも邪魔に感じるところもあったので、相互にNDAを結びつつ、ドコモさんの許可もいただいて仕切りを取っ払ったんです。

梅田氏:正直なところ「とりあえず集まっちゃいなよ!」という勢いでやったところはあります。なので実際に運用しながら詰めていく形です。

松田氏:でもこういう勢いは好きです。私はセガのあと日本マイクロソフトにいたのですけど、インディーズとしてスマホゲームで勝負したいと思ったのは、そのときの海外との異文化交流が大きかったんです。米国などにおいて、インディーズから中規模ぐらいの会社同士のオフィスシェアリングは珍しくなく、一般的に行われていることです。日本は旧態依然していてテレビ電話での情報交換とか、エンジニアが足りないときは派遣会社を通して1カ月後ぐらいにようやく入るというまどろっこしいことをやっていて、海外に比べてゲームを作るスピードも遅くなっているんです。懸念点はあるかもだけど、それ以上にいい意味での勢いとスピード感のほうが大事です。

 クライアント側をどう納得させるかという問題は当然ありますし、次の課題でもありますけれども、時代はこういう流れに向かってもおかしくないと思っています。もちろん、厳密なルール運用を求められたり、納得されないような状況も出てくるかもしれません。そのときは一時的に仕切りや個室を作るといったこともあるかと。そのときの状況に応じて先方が納得される形で、自分たちがうまくやっていけばいいと思います。クライアント側に対して安心していただけるようなルール作りを、自分たちで実現できれば面白いですし、そのルールを築き上げること自体にも魅力を感じています。

梅田氏:NDA以外のところで言うと、一緒の場所で勤務するということは経営者同士、従業員同士の交流が深まる一方で、文化の違いによるハレーションも起きるでしょう。でもそれを乗り越えていって、わかりあって相乗効果を出していくことができると思っています。問題や懸念が先に考えると何も動けません。懸念はあるかもだけど、まずは一緒にやろう、スピードやクオリティを出して面白いものをリリースしようということが大事と考えています。

違うカルチャーを感じられるメリット

--実際に入居してメリットを感じるところはありますか。

梅田氏:時間と地理的な要素はすごく大きいと感じています。ガルチさんと一緒にやっているプロジェクトが複数あって、なかにはグレフさんが加わっていただいているのもあるのですけど、隣に行けば話ができる環境というのは便利です。また「こういう話なら持ってこれます」というような提案や相談も、すれ違いざまに声をかけるような軽い感じから始められるのもメリットだと感じています。

茶谷氏:人数的にはガルチが一番多いので目立つのですけど、各社でキッパリと色が違いますね。それが見ていて面白くて、一緒にやっている感覚があります。

梅田氏:茶谷さんは手が空くと、すぐちょっかいを出しに来ます。

茶谷氏:それがガルチスタイルなので(笑)。

  • フロアの一角にあるちゃぶ台とマンガなどの置き場。もともとガルチにおいてあったものという

梅田氏:いつも果敢に乗り込んできて、それをやり返す日々です。カルチャーの壁は経営者がまず乗り越えていくスタンス……と言いたいですが、単に茶谷さんの性格なだけかと思います(笑)。

丸山氏:ウチは3月頭にきたばかりなので、これから積極的にいきます。でもすれ違うときにちょっとお話するだけでも新鮮に感じます。

茶谷氏:グレフさんのスタッフは、お昼休みにみんなでテレビを見ているんですよね。それがとても新鮮でした。

丸山氏:それはゲームセンターCXのゲームを作るときに、CS放送の契約をして番組を見ていたんですね。それが習慣として根付いてしまって、今はお昼に録画したアニメやゲームセンターCXを見ています。

梅田氏:トイディアさんは今、ドラゴンファングの運営を集中して取り組まれているのですが、文字通りの少数精鋭でコンテンツに対する愛着と気合いが見ていて伝わってきます。それは刺激を受けますね。

松田氏:ゲームプラットフォームの主軸はスマートフォンに移っていると私は思っていますが、今の時代における「ゲームを作ってユーザーに届けること」、そのことをワンパッケージとして考えたときの最小単位を自分たちで証明したいというのが、そもそもトイディアを立ち上げた理由です。

丸山氏:グレフはそれをコンシューマやアーケードでやってきたという意気と自負はありますけど、スマホゲームに乗り遅れたところがありますから。それぞれに優れたところがあるので、勉強させてもらいたいと。少人数で運営まで含めて自分たちでやっているというのがすごいと感じてます。トイディアさんを知って調べたときに、スマホゲームでも似たようなスタンスでやられているところにシンパシーを感じました。

梅田氏:4社ともそれぞれにプライドを持っていて、プライドがあるがゆえカルチャーも違います。でも、お互いがリスペクトしながら進めて行くことが大事かなと。

松田氏:ここにきて感じたのは、初心を思い出せることですね。少し経過して忘れてくるタイミングでもありますし。

丸山氏:うまく力を融合できれば大手にも負けないというぐらいの気概を持ってやりますし、それができそうな気もします。本当に刺激になります。

梅田氏:こうやってゲーム業界とずっとやられてきた方々と一緒の場で仕事できるのはすごくメリットですし、この4社でやっているということに魅力を感じてリクルーティングにもプラスになってます。また逆に、4社が集まったから、無理になにかと一緒にするということでもないんです。4社それぞれが自分たちの色を出して、プライドをもって自分たちの領域の業務を推進していくと。そのなかで、結果的には相乗効果につながればというスタンスでもあります。

--別々の会社がワンフロアで仕事をするとスタッフのみなさんに説明したとき、どのような反応をされてましたか。

茶谷氏:ほかの3社さんと一緒のフロアで仕事しますと説明はしたのですけど、反応は薄かったですね。たぶん、イメージができなくて意味がわからないという感覚を持ったんだと推察してます。

梅田氏:ウチはその都度その都度説明していましたけど、その時点でもウチのスタッフがガルチさんの場所をお借りしていたこともあったので、ガルチのスタッフさんと一緒の場所でできるということでプラスにとらえていました。トイディアさんもドラゴンファングが業界でも有名になっていましたし、日本マイクロソフトにいたスタッフもいるので、松田さんと一緒の場で仕事できることを喜ぶスタッフもいました。グレフさんも実績を持っているので、歓迎の空気はありました。

 ただ借りる立場として、4社が一緒になるところ以外の細かいルール作りなどの質問に追われていたところはあります。例えばフロアは土足厳禁にしてますが、それで本当にいいのかどうか、あと間仕切りの話もそうです。そういうところを細かいルール作りをしてイルカアップス内でも納得してもらい、ほかの3社さんにも納得してもらうという作業が、現在も続いています。とはいえ、4社一緒に仕事するということはおおむね歓迎していました。

松田氏:もろ手を挙げて賛成してました。いい場所に移転したたいけど行き場がないという話をしましたけど、少人数ということもあってこのことを正直にスタッフに言っていたんです。そんな折りでのお誘いだったので、大賛成でした。企業としてのルールや守秘義務まわりのことは私がまとめればいいので、スタッフからのネガティブな意見は何もなかったです。むしろ、早く引っ越しさせろぐらいの勢いでした。

丸山氏:町田から秋葉原へと、距離的に少し遠い場所に移転するということで驚いたスタッフはいましたけど、4社で一緒のフロアになるということの否定的な意見はなかったです。むしろ引っ越し予定のタイミングが、その時抱えていた開発のマスターアップとかぶりそうだったのです。「そんなことよりもマスターアップはどうすんの」という質問ばっかり受けてて、フロアがどうこうというよりもマスターアップの心配をしてました(笑)。

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