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日本発の「ヒット商品」で世界を変える--クラウドファンディング「Makuake」の挑戦

藤井涼 (編集部)2015年03月06日 11時10分
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 「日本から世界を変えるヒット商品が生まれる土壌を作りたい」――消費者から資金を募って製品やサービスを開発する“クラウドファンディング”で、日本の産業を変えようと奮闘しているサービスがある。サイバーエージェントクラウドファンディングが運営する「Makuake(マクアケ)」だ。

 掲載されているプロジェクトを見ると、ヘルメットに装着してサイクリング中に通話や心拍数の計測などができる「VOCE-rable」や、段ボールとスマートフォンだけで本格的な料理体験ができる子ども向けのおもちゃ「ダンボッコキッチン」など、ガジェットを中心にまだ世の中にはないユニークな製品や企画がずらりと並ぶ。


プロジェクトの一例

 注目したいのはその達成金額だ。スマートロック製品「Qrio Smart Lock」(1万2000円)は、終了6日前時点で目標金額150万円に対して約1500人が合計2280万円を支援している。また、卓上版3Dプリンタ「MAESTRO」は20万円近い高額商品にも関わらず、終了24日前時点で目標100万円に対して約90人が1700万円も支援している。これらは支援金上位のプロダクトだが、そのほかにも目標金額を大きく上回る事例は少なくない。

日本から「ヒット商品」を生み出したい

 「2年ほどアジアに海外赴任する中で、日本のプロダクトがどんどん海外のプロダクトに張り替えられていく状況をみた。借金をしてでもiPhoneを手に入れようとする人たちをみて思ったのは、購買力ではなく欲しいものがないから売れないということ。日本から次々と新しくて欲しくなるようなヒット商品が生まれないといけない」――こう語るのはサイバーエージェントクラウドファンディング代表取締役社長 CEOの中山亮太郎氏だ。


サイバーエージェントクラウドファンディング代表取締役社長 CEOの中山亮太郎氏と、同社取締役の坊垣佳奈氏

 海外で過ごす中で、日本製品が存在感を失いつつあることに危機感を抱いた中山氏が注目したのがクラウドファンディングだった。その当時から米国では「Kickstarter」をはじめ、さまざまなクラウドファンディングサービスが開発費用の調達先として活用されていたからだ。「モノづくりの日本ではなく、米国からどんどん新しいものが生まれてしまっていることに悔しさを覚えた。日本でもそういうインフラを作りたいと思い社内スタートアップとして会社を立ち上げた」(中山氏)。

 しかし、当初はほとんどメーカーには使われなかったと中山氏は振り返る。創業した2013年5月ごろは、クラウドファンディングといえば震災復興プロジェクトなどのイメージが強く、「メーカーの人たちが自分たちのものじゃないと思っていた」(中山氏)ためだ。そこから1年かけて啓蒙活動をする中で、少しずつメーカーのプロダクトが増えていった。今では、ソニーなどの大手メーカーからインディーズメーカーまで幅広く利用されるプラットフォームへと成長し、流通金額も2014年5月から10カ月で8倍に拡大しているという。


支援金1位のメンズフェイシャルエステは3000万円を集めて目標を達成

 人気のプロダクトはやはりガジェットだが、日本ならではの斬新なアイデアで生まれたものも少なくない。たとえば、人気イラストレーターが発案した童話「赤ずきん」をモチーフにしたアイシャドウは、女性層を中心に2500人が支援してサポーター人数の日本記録を更新した。また、抱き枕にセンサを装着して、その部分を撫でるとキャラクターが喋る「痛すぽ」もネットユーザーの間で大きな話題となった。

 なお、Makuakeでは自由にプロジェクトを載せられるわけではなく、専属のキュレーターが、各プロジェクトの企画からサイト掲載までを支援してクオリティを担保しているという。


「赤ずきん」をモチーフにしたアイシャドウは、サポーター数の日本記録を更新

 ところで、購入型(報酬型)のクラウドファンディングでは、目標金額に達しないと開発自体が頓挫してしまうと思っている人もいるだろう。Makuakeでは常時100件近いプロジェクトが掲載されているが、実はこのうちの約8割は最初から製造や実施することが決まっており、目標金額に達しなくても支援者は必ずその対価を得られる“オールイン”モデルなのだという。そのため、支援者もプロダクトを購入することを前提にコースを選んでいる。

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