日本発の「ヒット商品」で世界を変える--クラウドファンディング「Makuake」の挑戦 - (page 2)

“集客力”で差別化、自治体と連携も

 サイバーエージェントグループであるMakuakeならではの強みもある。4000万ユーザーを抱える「Ameba(アメーバ)」を始めとする各種サービスからユーザーを誘導できる集客力の高さだ。「どれだけいいプロダクトを作っても、それを必要とする人に届かなければ意味がない。グループで培った、いかに周知・拡散させるかといった広報ノウハウは競争力があると思っている」と同社 取締役の坊垣佳奈氏は話す。

 クラウドファンディングでは、発案者がソーシャルメディアなどで知人に支援を求めることもあるが、それでは内輪のメンバーだけで成立したプロジェクトになってしまう。Makuakeでは、サイバーエージェントグループの集客力を生かして“会ったことはないけれど共感してくれる人”が集まる状況が生まれており、それにより達成金額も比較的高額になっているのだという。


自治体と連携し、地元の企業をクラウドファンディングで支援

 優れたメーカーの発掘を目的に、全国各地でクラウドファンディングセミナーも開催している。代表の中山氏、取締役の坊垣氏と木内文昭氏の3人が交代しながら、月に10回以上ものペースで開催しているというから驚きだ。「ウェブによる空中戦も大事だが、実際に現地に足を運んでお伝えできることには大きな違いがある。出来るだけ直接お話することを大切にしている」(坊垣氏)。

 2014年末から各自治体と本格的に連携して地方活性化やクラウドファンディングの認知度向上への取り組みも開始した。2014年12月には横浜市と、市内の企業がクラウドファンディングで資金を調達しやすくするための協定を締結。事業規模や収益性などを理由に、金融機関の融資を受けられない中小企業や起業家を支援するとしている。

 また、1月には中小企業やベンチャー企業の製品開発を促進する「神奈川ものづくり『わくわく』夢ファンド」の運営者の1社として選ばれた。企業が資金を獲得できる魅力的なプロジェクトを設計するための助言や成功事例のノウハウを提供。特集ページの設置や動画作成支援などもする。さらに、セミナーやワークショップなども無料で開催する。

 直近では3月3日に、大阪商工会議所との提携を発表。大阪府と連携しながらクラウドファンディングを活用して中小企業を支援する第1弾プロジェクト「女性も喜ぶメニューでおもてなし!五感を満たす骨付き肉バルを大阪難波に開店したい!」を開始した。今後も、自治体との連携は加速してきたいと中山氏は話す。


「女性も喜ぶメニューでおもてなし!五感を満たす骨付き肉バルを大阪難波に開店したい!」

 「明確に他のプラットフォームとの違いとして意識しているのが、それぞれの産業にとって意味のあるサービスになろうということ。メーカーはどういうところに困っていて、僕らはどう手を差し伸べられるのか。一方で、ユーザーがお金を出してもいいと思える商品って一体何だろうか。ここのマッチングをどう芸術的に作っていくかを意識している。最初は本当に見つからなくて苦しかったが、全国津々浦々、いろいろな産業や業者の方の意見を聞きながら、サービスをブラッシュアップしてきた」(中山氏)。

 国内では軌道に乗ってきたMakuakeたが、中山氏が目指すのは、サービス立ち上げのきっかけでもある「日本から世界に通用するヒット商品を生み出す」こと。実はすでに海外からもアクセスがあり、Makuake発のプロダクトが世界に通用するという手応えを感じつつあるという。そこで今後は海外展開にも本腰を入れる。2月末から要望があったプロジェクトは英語サイトでの掲載を始めたほか、欧州やアジアでの販路拡大に向けたアライアンスも進め、世界各国に商品を届ける体制を作るという。Makuakeの本当の挑戦はこれからだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]