UPDATE 米連邦通信委員会(FCC)は米国時間2月26日、FCCが電気通信法(Telecommunications Act)の「Title IIに定められた権限をオープンネットワークの保護を実施、強化するために行使すべき」というTom Wheeler委員長の提案について投票を行い、可決した。インターネットサービスプロバイダー(ISP)各社は、AmazonやNetflixなどの任意のサイトへの平等なブロードバンドアクセスをユーザーに提供せねばならず、一部のサイトへのアクセスを減速したり、追加料金を課金して高速化したりすることが禁じられる。
予想されていた通り、ISPをコモンキャリア(公益通信事業者)として扱う規制案は、民主党の3委員が賛成、共和党の2委員が反対票を投じ、可決された。この規制の下、ブロードバンドインターネットサービスは、1996年電気通信法(1934年通信法の改正)の適用を受けることになる。4GプロバイダーであるAT&T、Sprint、Verizon Wirelessといったモバイルブロードバンドベンダーも、通信法のTitle IIIに基づきコモンキャリアとして規制される。Wheeler氏による提案の後、FCCがブロードバンドを25Mbps以上と再定義したことにも注意されたい。
共和党は、これが政府の過度な介入につながり、FCCの権限の範囲を超えていると主張していた。Wheeler氏は最後の討論で、これをナンセンスだとして切り捨てた。同氏は、「FCCは持てる権限のすべてを行使して発明者や消費者を保護し、追加料金による優遇措置、いわゆる高速レーン(Fast Lane)を禁止しようとしている。これによりインターネットの利用が持てる者と持たざる者に区別されることがなくなる」と締めくくっていた。
具体的に言うと、FCCはこの新しい権限を利用して新たな「オープンインターネット」を定義する。新たなオープンインターネットは以下の基礎的要素3項目を踏まえて構成される。
ブロック禁止:ブロードバンドプロバイダーは、合法的なコンテンツやアプリケーション、サービス、無害なデバイスへのアクセスをブロックしてはならない。
調整禁止:ブロードバンドプロバイダーは、コンテンツ、アプリケーション、サービス、無害なデバイスに基づいて、合法的なインターネットトラフィックを損なったり低下させたりしてはならない。
有料トラフィックの優先禁止:ブロードバンドプロバイダーは、対価と引き替えに一部の合法的なインターネットトラフィックを他の合法的なトラフィックよりも優遇してはならない(つまり「高速レーン」禁止)。この規則により、ISPの提携先のコンテンツやサービスを優先することも禁じられる。
この最後の条項は、ComcastやVerizonなど「ラストワンマイル」の接続を提供するISPに対して、今後はNetflixなどのコンテンツプロバイダーにインターネットアクセスの料金を請求できないと通告するものだ。
商用インターネットが登場した1992年に、当時のISPは商用インターネット相互接続協会「Commercial Internet Exchange(CIX)」を結成した。このCIXの指針の1つがネット中立性だった。つまり、サイトがブロックされたり、トラフィックが計測あるいは減速されたりしてはならないと決められていたのだ。
だが、この指針は維持できなくなった。2014年にVerizonがFCCに勝訴した訴訟で、FCCにはインターネットトラフィックを規制する権限がないとされた。これは当時、ネット中立性にとって大きなダメージとなった。Tier1のISPであるLevel 3 Communicationsは、一部の地域でラストワンマイルを独占的に提供するISPが、インターネットトラフィックを故意に減速していることを示した。
では、このことが一般の利用者にどのような意味を持つのか?Wheeler氏は、この新しい姿勢によって、インターネットがオープンさを現在そして未来においてすべての米国民に対して維持することが確かになる」と宣言した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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