NTTは2月19日、将来の通信ネットワークを見据えた同社の新たな技術開発コンセプトとして、「NetroSphere(ネトロスフィア)構想」を策定したと発表した。
この構想では、ネットワークを利用するサービス事業者に多様なサービスを、迅速かつ高信頼、低コストで提供することを目指す。ネットワークを構成する機能をできる限り小さい単位の部品に分離・素材化し、それを自由に組み合わせることによって必要な機能や容量を柔軟に、経済的に構成することを実現するとしている。
従来、ネットワークインフラは機能ごとに開発された専用的な装置によって構成されている「サイロ型」と呼ばれる方法が主流だ。しかし、それらの装置は単体として高信頼・大容量を達成するために高度化、大規模化する傾向にあり、ビジネス要件に即応した機能や容量の追加・変更が困難で、運用効率が悪く、コストも高いといった課題があったという。
それに対してNetroSphere構想では、ネットワークを構成する機能をできる限り小さい部品として扱えるようにすることを目指し、それぞれの部品を利用者で共有資源化。この部品を自由自在に組み合わせて必要な機能を必要なタイミングで提供する仮想的な装置を構成し、それらによってサービス事業者が必要とするネットワークを柔軟に構成するという。
ひとつの部品の機能はシンプルなため、さまざまなサプライヤの参入が可能となり、コモディティ化、低価格化が進むことが期待できるほか、冗長化や大容量化を効率的に達成できるため、装置コストを大幅に削減することが可能になるとのこと。
NTTでは、この構想を実現するための新技術として、高機能なエッジルータ、コアルータなどの専用装置ではなく、機能がシンプルな汎用製品を用いて従来以上の高信頼・高スケール性を確保することを前提としたネットワークの構成方式(アーキテクチャ)であるマルチサービスファブリック(MSF)と、高信頼性とスケール性を、さまざまなアプリケーションに共通のプラットフォームとして提供する新サーバアーキテクチャ「MAGONIA(マゴニア)」(PDF)の開発を推進。それぞれの技術をオープン化していくことで、多くのベンダーの参入促進や国際標準化への積極的な貢献などをしていくという。
同社によると、スマートデバイスの普及、IoT(Internet of Things)の発展、4K/8K超高精細映像配信への期待などICT分野が多様化したり、同社が「光コラボレーションモデル(光卸事業)」を発表したことで新しい通信サービスの創造が期待されたりする一方、高信頼・高スケール性が求められるキャリアネットワークには、データセンタのような汎用製品の活用やSDNの導入が進まず、運用の柔軟性や抜本的なコスト削減が進まないという課題があるという。
こうした課題を解決するためには、ネットワークや装置のあり方や、それを取り巻く通信産業全体のあり方を変革するべきという結論に達し、NetroSphere構想の策定に至ったとしている。
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