KDDI∞Labo

迷走、仲違いを乗り越えた「Sakaseru」--KDDI∞Labo第7期の3カ月間

井指啓吾 (編集部)2015年02月09日 09時00分

 革新的なサービスのアイデアを有するスタートアップ企業やエンジニアを対象としたインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」第7期参加チームのDemo Dayが1月27日に開催された。当日の様子や各サービスの概要は既報の通り。

 プログラムの3カ月間、KDDIに加え、プログラムを支援するパートナー企業がメンターとして参画し、アイデアの実現に向けてコンセプトの企画やサービス開発に取り組んできた。ここでは、各参加チームのメンバーとメンターが同プログラムを通して感じたことなどを紹介する。

 今回は、Demo Dayで特別賞「Bloom with Tech賞」を受賞した、アレンジメントフラワーEC「Sakaseru(サカセル)」を開発するgoalの西山祐介氏、小尾(おび)龍太郎氏。そして同チームのメンターを務めたプラスの伊藤羊一氏の話。

 KDDIが2月20日まで募集している、KDDI ∞ Labo第8期プログラムエントリーへの応募を検討している人はぜひ参考にしてほしい。


goal代表取締役の西山祐介氏(左)、取締役の小尾龍太郎氏

――KDDI ∞ Laboに参加した動機は。

西山氏:僕は13年間花屋をやっていて、今も六本木で「フラワーキッチン」という実店舗を経営しています。そこで、エンジニアの小尾に会社に参加してもらい、自分たちなりに1年間ほど、花を使ったウェブサービスを作っていました。たとえば、Facebookで無料で一輪の花を、住所を知らない人に贈れるサービスとか。

小尾氏:西山がもともと別のところで花屋をやっていて、そこの業務効率をよくするために、私が営業用のiPadのアプリを作ったことがあります。そこで結果が出せたため、一緒にサービスを作ることになりました。

西山氏:小尾に入社してもらうときに、3年間思いっきりやって成果が出なかったら解散しようと話していました。1年間、予算を使ってサービスを出してきましたが、今後あと2年、自社で続けても厳しいと感じました。その時、小尾がKDDI ∞ Laboを見つけてきてくれて、「これがラスト」という気持ちで挑戦したら運良く採択していただけた形です。

――KDDI ∞ Laboはどうやって見つけたのか。

小尾氏:もうとにかく後がないということで(笑)、そういうプログラムを探していたんですね。他のキャリアも同じような取り組みをしていたんですが、KDDI ∞ Laboが一番、自分たちの事業やサービスと親和性が高いと思いました。

 なぜなら、6期生までを見ると“リアルとインターネットをつなげて何かをする”というサービスが多かったから。今回の花とインターネットも親和性が高いと思い、ここだけ応募しました。

――メンターの伊藤氏はどの段階からチームに参加したのか。

  • プラス執行役員 ヴァイスプレジデントの伊藤羊一氏

伊藤氏:もともとプラスでベンチャー企業とのコラボレーションを進めようとしていて、さまざまな形で僕らの販路で売るといったことをしていました。その中で、「ベンチャー企業と大企業とのつながりが薄いこと」を強く感じていました。

 goalのメンターになろうと思ったのは、プラスのBtoBの商売上、BtoBtoCの花のサービスが欲しかったからです。そしてもう1つ、他のどのチームの方よりも、気合いが入っていたというか「化けそうだな」と感じたから。「これが最後」という迫力があった。

小尾氏:これが通らなかったら、もうダメだったので(笑)。

伊藤氏:その切羽詰まった感じがよかった(笑)。あとはお会いした方々の中で、一番“ヘタレ”だったんです。でも切羽詰まった感じがあるから、ビフォー&アフターがものすごくイメージできた。それで一緒にやりたいと思いました。

――KDDI ∞ Laboでの具体的な活動は。

小尾氏:一番大きかったのは、ウィークリープレゼンテーション。毎週テーマが決められていて、サービスや事業の内容を他の参加チームを交えて討論するものです。

 これまで僕はプログラミングだけをやってきたので、人前で話したり、人に何かを伝えたりするのが上手ではありませんでした。そこで伊藤さんに、プレゼン資料の作り方から、振る舞い方、話し方までをすべてレクチャーしていただいて、期間中こなしてきました。

伊藤氏:毎週のプレゼンは、各チームが、メンターやKDDIの関係者、ゲストにプレゼンをするという公式のスケジュール。僕らはそれに加えて毎週、チームだけのミーティングをしました。これはひたすら“壁打ち”。毎回2時間くらい、サービスなどについて「ここはどうしたいの?」と詰めていく。

 毎週全員が集まってのプレゼンは、成果発表の場。彼らは毎週毎週プレゼンするわけです。毎回、細部が少し変わるだけでほぼ同じ内容のものを、あたかも初めて発表するかのようにプレゼンする。1週間経って進歩していないと「なんなんだ」と言われるし、ある意味、彼らにとってはとてもやりにくいものだと思います。

――毎週、どのような気持ちでプレゼンしていたのか。

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