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グリーの“技術”を10年支えるCTO藤本氏が「最もやりたいこと」

藤井涼 (編集部)2015年01月30日 12時21分
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 2014年12月に創立10周年を迎えたグリー。SNSからゲーム、さらには生活領域へと事業を拡大する同社を技術面で支えてきたのがCTO(最高技術責任者)の藤本真樹氏だ。10周年を機に、社内を活性化するためのプロジェクト「Refactoring GREE」を立ち上げるなど、組織としての成長にも力を注ぐ藤本氏に、グリーでの10年を振り返ってもらうとともに、改めてCTOの役割について聞いた。


グリーCTO(最高技術責任者)の藤本真樹氏

――藤本さんは2005年6月にグリーに入社しました。グリーと共に歩んだこの10年を振り返ってみていかがですか。

 おかげさまで会社として成長することができました。マンションの一室だったところから、こうして1000~2000人の仲間と働けるようになったことは貴重な体験ですし、大きな変化だと思います。一方で、急成長したことで(コンプガチャ問題などで)世間にご迷惑をおかけしたことは真摯に反省しないといけないと思っています。その経験を踏まえて、より成長して次のステージにいこうとしている最中ですが、そのターニングポイントとなるのが、この10年という節目の年です。

――エンジニアとしても一目置かれる藤本さんであれば、たとえば独立するといった選択肢もあったと思います。

 独立という観点だと、まず僕は社長とかは面倒くさいので死んでもやりたくないなと(笑)。何よりグリーにいて退屈したことがないですね。本当に毎週のようにいろいろあるので。この規模で、この環境で、この仲間と働けることは人生で2度はないと思うので、もっといろいろと経験したいですね。

 たとえば、いまのタイミングだとこのまま何となく(減収減益などで会社が)縮小していてもつまらないので、もうひとステージ上げることはチャレンジとして面白いし、その中で自分が役に立つならやりたいですね。やはり追いかけていたり、しんどいけれど何とかしている時の方が楽しいですから。会社が伸びている時もチャレンジはできますが、思い切って何かやろうという時は、多少うまくいっていない時の方がやりやすいですよね。

――この10年でSNSに始まりモバイルゲーム、さらには介護やホテル予約など、ざまざまな事業を手がけてきました。

 技術的な観点でいえば、そこまで急ではないけれど確実にテクノロジの幅が広がっています。分かりやすいところだと最初はPCブラウザがあって、そのあと日本特有のガラケーが出てきた。さらにスマートフォンにはブラウザとネイティブアプリがある。それにゲームとユーティリティでもアプリの作り方が違いますよね。

 また、ゲーム以外のところでいろいろやろうと思うと、“純テクノロジ”というよりビジネスにとってのシステムをどう作るかという、SIer(システムインテグレータ)的な視点も必要だったりします。さらに、いまはハードウェアやウェアラブル端末もありますよね。そうやって外的環境が変わっていく中で、自分たちが「こういうことができたらいいよね」ということを続けてきました。

 (グリーが設立された)10年前はサーバはラックを借りていた。でも今はスタートアップでそんなところはそうないでしょう。そういう人たちと勝負するには、自分たちが持っている資産を使って、最適な選択をしていかないといけない。リソースという意味では、変化に対して人や資金を投下できますし、優れた技術を持つ企業を買収する可能性もあります。そこは変に手段を限定する必要はないし、オプションは広ければ広いほどいいですよね。

――改めてCTOの定義について教えてください。スタートアップと大手企業では役割が異なるのでしょうか。

 確かに10人のスタートアップと、1万人の大企業ではCTOの役割は違います。特にスタートアップのCTOはいろいろな役割を暗黙に兼ねています。エンジニアでもあれば取締役でもあり、マネージャでもある。そのなかでCTOに共通して求められるのは、経営判断における技術的な素養みたいなものだと思っています。技術的な観点から経営にコミットするということですね。

 そこは本当に会社によって振る舞いが変わるし、自分以外のメンバーのあり方によってもやることが変わるのですが、エンジニアがモノづくりの時に、いかに本質とは関係のないところでストレスがない環境にしてあげるかということですね。分かりやすいものですと人事評価や給与制度、システムの選定ひとつとってもそうかもしれません。ただ、人は快適な環境にはすぐに慣れてしまうので、ダメなことがあると怒られてしまう。なので、基本的にCTOになって褒められることはないですね(笑)。

――よくCTOになるとマネージメントが中心になって、コードをかけなくなるという話を聞きます。

 テクノロジのトレンドなどは極論、ニュースなどを見ればいいですが、やはり手を動かすのは大事で、とにかくやるしかないですね。そこは企業規模によって求められる能力も違うのですが、グリーは言っても1000~2000人の会社で、事業の構造自体も割とシンプルな方だと思います。ゼロからサービスを作るのは難しいかもしれませんが、社内でハッカソンがあれば自分が出ても良い。それでも全部はカバーできないので、そこは必要に応じて分担すべきだし、社内に凄い人がいれば教えてもらえばいいんです。

 たとえが難しいのですが、エンジニアの仕事って抽象的な概念を現実を落とすことだと思っていて、そのコストを肌感として持ち続けることは大事なのかなと思います。管理する方から見ると、プロジェクトを作るという話になった時に、実際に回すとどんな問題があるか、その仕組みを準備するのにどれくらいかかるのかなど、いろいろ問題が見えてくる。そこが抽象的な理解だと、そういうところを意外とすっ飛ばすので、「何でできないの?」という話になってしまいます。

――現在はグリーのCTOという立場ですが、1人のエンジニアとしていま最もやりたいことは何でしょう。

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