グリーは11月9日、2015年6月期第1四半期(7~9月)の連結決算を発表した。国内外の既存ゲームが軟調に推移し、売上高は254億2100万円(前年同期比で28%減)で前四半期の265億8000万円から減少したものの、広告宣伝費を7%削減したため、営業利益は63億7700万円(同34.8%減)で前四半期並の水準を保っている。純利益は34億7500万円(同44.5%増)。
同社では現在、ネイティブゲーム市場が拡大していることから、これを主軸とした事業構造に転換を図っている。目標はもちろんヒットタイトルの創出だ。同期よりウェブゲーム事業からのシフトを中心に開発体制を増強し、6月末の約300人から10月末には約500人まで増員。新規タイトルの開発ライン数は10本から12本に増やした。
開発体制は、2015年6月をめどに1000人、20ラインまで増強する計画。グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏は「発表から80日で200人を増員できたのは予定通り。社内での人員のシフトには限界があるため、今後は採用活動も含めて1000人を目指していく」と見通しを述べた。
現状の開発体制では2014年冬に3本の新作タイトルを発表する予定で、前四半期にリリースした人気タイトル「消滅都市」「クロスサマー」にも注力するという。
KPIとして定めたネイティブゲームのコイン消費は、前四半期比10%減となる102億コイン。既存タイトルの軟調を前四半期にリリースした前述2タイトルの成長で補えなかった。ウェブゲームとあわせた全体のコイン消費は、前四半期比7%減の363億コインだった。
海外ネイティブゲーム事業では、リリース済みタイトル5本とβ版1本を第2四半期に停止し、運用数を9本に絞り込む。これにより空いたリソースは、新規タイトルの開発、既存タイトルのAndroid版運用の強化、欧州展開などの成長施策に充てるという。
ゲーム事業以外では、広告事業において新たに「動画広告」を開始する。子会社のGlossomを通じて、米動画広告配信プラットフォーム「AdColony(アドコロニー)」の日本向け独占配信ライセンスを取得しており、2015年1月に商品の発売する予定だ。また、ブランド品買取やホテル予約、リフォームなど新領域での事業も継続する。
なお、リリースから約1カ月で終了したラブホテルの当日予約アプリ「Tonight for Two」については、リリース後にさまざまな反響があり「ゲームを中心とした未成年向けサービスを提供している会社としての社会的な責任に鑑み、早期に終了する判断をした」(グリー取締役執行役員常務の青柳直樹氏)と説明。サービス開始時の調査などが足りず、「我々の考えが至らなかった。サービスの継続性を担保できる体制を整えていきたい」と述べた。
8月の2014年6月期決算説明会で田中氏は、第1四半期をボトムとして売上高の反転を狙うとしていたが、第2四半期の売上高は第1四半期を7%下回る見通し。田中氏は「第3四半期で増収にしたい」と話した。
◇「売上反転」に向けての道のり
田中社長が振り返るグリーの10年--復活の鍵を握るのはQ4(2月14日)
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