デジタルガレージ(DG)は1月28日、ソーシャルコミュニティサイト「Wikia(ウィキア)」の日本展開を支援することを発表した。米Wikiaおよびその日本法人であるWikia Japan(WJKK)と、日本語版サイトに掲載する広告の独占販売代理店契約を締結した。なお今回の契約に先立ち、DGは2014年6月に投資・育成事業を手がけるDGインキュベーションを通じてWikiaに出資、9月にはWJKKに資本参加している。
Wikiaは、オンライン百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」の創始者であるJimmy Wales氏が、2006年に立ち上げたコミュニティサイト。ゲームや音楽、映画、書籍、ライフスタイルなどの幅広いテーマについて、ファンがテキストや動画などのコンテンツを追加したり、チャットや掲示板で交流したりできる。本格展開はこれからだが日本語版もすでに公開されている。
サービスの特徴は、通常のSNSのコミュニティのように“誰もが言いたいことを好き勝手に投稿する”のではなく、Wikipediaのようにより詳しく良質な情報を持つファンを中心にコミュニティが構築されていくこと。そのため、間違っている情報が掲載されていればWikipediaのように他のユーザーに修正されてしまう。質の高いユーザーをアンバサダーに任命するなどの取り組みもしている。
デジタルガレージ執行役員の枝洋樹氏は「Facebookやmixi、2ちゃんねるなどは個人が個人の情報を発信するメディア。一方でYahoo!ニュースなどはプロが編集して多くの人に読んでもらうためのメディア。Wikiaはその中間にあると思う。コミュニティの中で編集して多くの人に見てもらう。まさにユーザー参加型のコミュニティ発信サイト」と説明する。
ユニークビジター数は英語圏を中心に世界で1億2000万人。200以上の言語で記述された30万件以上のコミュニティ、3400万のページがあり、毎月17億ページビューものアクセスがあるという。なお、Wikipediaは個人や団体からの寄付によって運営しているのに対し、Wikiaではコンテンツの商業分野でのコラボを目的としており広告も掲載されている。
2012年ごろからは企業もその影響力の大きさに注目しており、たとえば熱狂的なファンも多い「スターウォーズ」のコミュニティは、ルーカスフィルムが公式のコミュニティとして紹介するほど。中には、コミュニティのユーザーにだけ、製品や作品の新着情報を先行公開する企業もあるという。「自社で1からファンページを作るより、すでに盛り上がっているコミュニティで一緒にプロモーションする方が有効であることに、コンテンツオーナーも気づいている」(枝氏)。
Wikiaの日本展開は、DGの共同創業者でMITメディアラボ所長である伊藤穰一氏が、もともと親交があったJimmy Wales氏からのオファーを受けて実現したのだという。DGは過去にはTwitterと資本提携し、SNS「Twitter」日本語版の展開を支援したり、広告販売を担当している。このノウハウを生かし、今後はWikiaのローカライゼーションや広告販売を進める。
すでに国内のコンテンツ事業者との連携といった話も進めており、春ごろから取り組みを本格化する。日本でのWikiaの認知度を英語圏並に高め、将来的には日本発の漫画やアニメなどのコンテンツを世界各国へ発進していきたいという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」