ついに“ガラホ”が登場──と話題になったKDDIの2015年春モデル。まだ耳慣れないガラホとは、折りたたみ型のフィーチャーフォン、“ガラケー”に近い使用感を意識して設計されたスマートフォンのことを表す。
あまり聞かれなくなった“ガラスマ”(ガラパゴススマートフォン)は、ワンセグやおサイフケータイなど、フィーチャーフォンで標準となる機能をスマートフォンに搭載したもの。“ガラホ”とはアプローチが異なる。
KDDIが1月19日に開催した春モデル発表会で発表した、シャープ製「AQUOS K(アクオス ケー)」(2月下旬に発売予定)が“ガラホ”と呼ばれるカテゴリの製品だ。Android 4.4を搭載しているのだが、しばらく使ってもOSがAndroidだとはおそらく気付かないだろう、というほどこれまでのフィーチャーフォンと変わらない見た目、メニューや操作感だ。またGoogle Playにも対応していない。
しかし、中身は大きく異なる。1.2GHzのクアッドコアCPUを搭載しており、フィーチャーフォンとして初めて高速通信サービスLTEに対応した。ただし、VoLTEには開発期間の都合で対応していない。
高精細QHD液晶や約1310万画素の高性能カメラも備えた。慣れたキー操作はそのままに、新たに物理キー部分に静電式センサを配置し、オブジェクトの選択やスクロールが10キーを併用しながらできる「タッチクルーザーEX」を搭載した。本体サイズは幅約51mm×高さ約113mm×厚さ約16.9mmで、重量は約128g。
シャープによれば、フィーチャーフォン(ケータイ)の契約者数は、約6000万件(2014年9月時点)あるという。今後も継続してケータイを買い換えたいという人は約30%おり、当面はケータイユーザーが残ると見る。
シャープの調査によると、ケータイユーザーは低リテラシーな層と見られがちだが、実は多くのケータイユーザーはPCもネットも使いこなしており、慣れたキー操作を優先しているだけという結果が得られた。「その場で検索したいけれど、(遅いから)メモって自宅のPCから検索するので面倒」「LINEは通話できないが、トークだけは使っている」といった声が浮き彫りになったと説明する。
そこで生まれたのが今回のAQUOS Kだ。「慣れ親しんできた形と、機能の進化を備える。ターゲットは現在のケータイを使っている人。50代だけでなく、30代にもたくさん使っている人がいる。すべてのケータイを新世代ケータイに変えていきたい」と意気込む。
最新のネットワークとデバイスを備え、LTEとクアッドコアCPUでサクサクネット検索もできるようにした。一般的なケータイのCPUと比べ、約4.3倍の処理能力を持つという。
スマートフォンの省エネ技術を駆使し、従来ケータイ以上の電池持ちを実現。バッテリ容量は約1.4倍の1410mAを備えるほか、通話時間は従来ケータイの約2倍の約620分になった。
さらにオープンなインターネット環境を備え、ブラウザの起動とともに自動的にタッチクルーザーEXが有効になり、PCのキーボード部分にあるタッチパッドのような操作感が得られる。
今回、OSにAndroidを採用した大きな理由は、開発コストの削減と発展性だ。今後もケータイは年間約1000万台程度は見込めるものの、業界のイノベーションはやはりスマートフォンに集中していくと予想される。
シャープ 常務執行役員 通信システム事業統括 兼 通信システム事業本部長の長谷川祥典氏は「スマートフォンをAndroidでやっているので一番開発しやすいし、スマートフォンとのシナジーがとりやすい。スマートフォンで実現しているものを即フィーチャーフォンに実現できるメリットがある。これからもAndroidは進化すると考えており、そういう点でも採用した」と説明した。
シャープがAQUOS Kで目指したのは、「スマートフォンの思想を持ってくるのではなく、ケータイのユーザーがなにを求めるか」という視点でのモノづくりだ。現在のフィーチャーフォン市場における20%のシェアをシェアを早期に40%したいと意気込みを見せた。
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