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ソーシャルメディアを賑わせた成功事例から考えるコンテンツマーケティングの勘所 - (page 2)

山田井ユウキ2014年12月26日 08時00分
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 チームには大阪出身のメンバーがいなかったため、コンテンツ制作は試行錯誤の繰り返しだったという。大阪と言えば、まず出てくるのは通天閣やユニバーサル・スタジオ・ジャパンといったキーワードだが、それは結局のところ、東京から見た大阪でしかない。「クチコミは対象が狭くなるほど面白くなるので、どれだけ狭くするかがポイントでした」(平井氏)

 大阪のソウルフードという「キャベツ焼き」を登場させたり、キダ・タローさんを起用してテーマソングを制作したりすることで、拡散しやすいポイントを設定。さらに、ニュースリリースを出したり、企画用のソーシャルメディアアカウントを活用して随時更新情報を共有したりするなどした。

 その結果、狙い通りにソーシャル上でヒット。ウェブで募集した応援団員は8500人を突破し、特設ウェブサイトのページビュー(PV)も最終的に15万を記録した。商談でも話題に上り、取引がスムーズに行くようになったなどの効果もあったという。

熊本県「くまモンほっぺ紛失事件」

 熊本県はトマトやスイカ、馬肉など「赤い特産物」が全国生産第1位であり、それを首都圏に売り込みたいという課題を抱えていた。しかし、よくありがちな“シンボルマークで括るキャンペーン”だけでは、生活者の関心を惹くのは難しい。そこで、全国的に認知度が高いゆるキャラ「くまモン」を活用して行ったプロモーションが「くまモンほっぺ紛失事件」である。

 電通パブリックリレーションズの根本氏は、「提供されるキャンペーンではなく、生活者を巻き込むニュース(事件)を作ることで、ストーリーにサプライズを持たせた」と企画の狙いを語った。

根本陽平氏
電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 根本陽平氏

 「くまモンのチャームポイントである赤いほっぺが落ちてなくなった」という“ニュース”は、くまモンの「ショックまー。」というTwitterのつぶやきからスタート。「美味しいものを食べるとほっぺが落ちる」ことから、くまモンが熊本県のおいしい赤い食べ物を食べたために、ほっぺを落としてしまった――というストーリーだ。

 くまモンのTwitterやFacebookのプロフィール写真は、ほっぺがなくなったものに置き換えられ、熊本県知事もキャンペーンに参加して記者会見を開くなど大掛かりなキャンペーンを展開した。その後、ほっぺ探しの様子が随時TwitterやFacebookで更新されるにしたがって、キャンペーンの内容がソーシャル上で拡散。最終的に23のテレビ番組、30件の新聞掲載、400以上のウェブサイトがキャンペーンを紹介するに至ったという。広告効果は6億円と試算されている。

 拡散の鍵となったのは、情報流通の構造を把握して「適切な媒体に適切な情報を流し込んだ」こと。同社の調査によると、情報の経路はニュース系メディアとソーシャル系メディアに分かれており、それらを相互に行き来しながら波及していくのだという。

 まずプレスリリースをニュース系メディアが取り上げ、それがポータルサイトを通じてソーシャルメディアに波及する。ここで拡散された情報をまとめサイトが集約し、さらにクチコミで広がっていく。あるレベルにまで拡散されたところでテレビ番組が取り上げ、ここで情報は最大化される――という流れだ。

 「コンテンツマーケティングでは、目立つことをしてクチコミさえ起こればいいというものではない。情報はニュース系メディアとソーシャル系メディアに二分化されていて、適切に流すことで情報がまわり、リアルなクチコミにつながっていく」(根本氏)

細川一成氏
電通パブリックリレーションズ シニアコンサルタント 細川一成氏

社内で企画を通すコツ

 今回紹介したキャンペーンはどれも成功事例だが、こうした尖ったコンテンツマーケティングの企画を通すのは難しいという企業も多いだろう。

 ホワイトプラスの鯉谷氏は、「利益やCPA(成果あたりの支払額)といったコストまで算出し、そういう視点できちんと組み立てていくことが大事」と言う。また「自分の中で過去にどれだけの成功体験があるか」も企画に説得力を持たせるための重要な要素になると語った。

 モンテールバリューの平井氏は「弊社は上の理解があることが大きい」とした上で「広報宣伝部隊だけのメリットを追求するのではなく、部署ごとにメリットを見出し、部署の垣根を取ってプロジェクトを組んだ」ことをポイントとして挙げる。また「1回のプロジェクトで全部やろうと思わずに、中長期的に施策を組んでメッセージを届けていく」ことが重要だと述べた。

 電通パブリックリレーションズの根本氏は、「Brave & Bold(勇気を持って大胆に)」というキーワードを挙げ、「起用するリスクがある中で、一歩踏み出す勇気を持つこと」が社内で企画を通すコツだと言う。また、代理店の立場から「納品するだけでなく、そのコンテンツを愛して、最後までやりきっていくこと」を成功の理由として挙げた。

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