皆さんはどんなスタイルのコンピュータを使っているだろうか。筆者は学生時代の2001年にiBookを購入して以来、メインで使っているMacはすべてノートブック型を使ってきた。現在は2012年に購入したMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイモデルを使用している。そしておそらく、今後もノート型を中心に使っていくだろうと考えてきた。
ところが、その考え方を改めるべきかもしれない。それほどまでに、iMac Retina 5Kディスプレイモデルの魅力を放つ1台だった。しかも、電源を入れて使い始めた瞬間から「あ、なるほど」と感想を漏らすことになるはずだ。
電源を入れて、セットアップをし、いざ使い始める。4Kの上、5Kという解像度は、明らかに過剰だ。原稿を書く仕事をしており、文字を主体として、一部で写真と映像を扱う。しかも、まだ映像はフルHD止まりで、4Kすら扱っていない。そうしたユーザーとしてiMacの5Kディスプレイと対峙したが、身構える自分と裏腹に、iMacはOS X Yosemiteの美しいヨセミテの風景を映し出して、出迎えてくれた。
その壁紙の写真は、細部までを立体的に描き出しており、その柔らかな色のトーンも夢見心地と言うべきか。今までのコンピュータで出会ったことがない映像が自分のすぐ目の前にあり、しかも自由に操作できるのだ。テレビの中の映像ではない、「自由な超高画質」という感想を持った。Retinaディスプレイを搭載しているMacは、特に設定を行わない状態で使い始めると、解像度は縦/横を2分の1のサイズで表示する。
iMacの場合、Retinaモデルではない27インチモデルと同等の2560×1440ピクセルと同じように見えるよう、スケーリングされている。しかし27インチモデルのそれとは全く異なるディスプレイであることは一目で分かる。現在テレビ業界でも普及が始まりつつあるのは4K、今回のiMac5K。「4Kですらまだなのに」と思われるかもしれないが、5Kディスプレイのメリットは、むしろ4Kの映像を編集する際に表われるのだ。
4Kの映像を拡大縮小なしで表示しながら、上下左右の残りの領域を編集ツールや映像のタイムラインを表示するために利用でき、効率的な作業ができる。また、高画素化しているデジタルカメラの写真も、拡大縮小せずにより広い領域を表示できるため、編集も捗る。1ドット1ドットが大切なプロ世界で、よりたくさんのドットを美しく表示するディスプレイは、非常に重要な機能になるのだ。では、iMacの各モデルのディスプレイは低品質か、といわれるとそうではない。しかし違いは歴然としている。
Macのユーザーインターフェースの特に文字の部分は、曲線に見えるようぼかしが入り、さらに顔を近づければドットが離れていることが見えてくる。Retinaディスプレイでは、こうしたぼかしのドットや、ドット感のスキマは見られず、くっきりとした滑らかな輪郭で描かれる。Retinaディスプレイとそうでないディスプレイの違いは、意外にも文字表示で非常に大きく差を感じるのだ。
例えば画面上部のメニューバーに目をやる瞬間、画面の左側に並ぶアイコンの名前の文字を見つける瞬間、その違いが伝わってくるのだ。もちろんSafariでウェブページを閲覧したり、Pagesでワープロ文書の編集をしたりしても分かるが、その作業に移る前から、高精細ディスプレイと美しい文字のインターフェースのメリットを体験できる。これまでのMacのRetinaディスプレイは15インチのノートブック型だけだった。こうした高精細ディスプレイが27インチで展開されると、視界全体がこうした美しい表示で覆い尽くされ、その迫力に圧倒される。
しかし程なくすると、美しい線で描かれた文字が当たり前になる。慣れというのは怖いものだ。裏を返せば、他のRetina 5Kディスプレイではないデスクトップに、もう触れたくなくなった瞬間でもあった。
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