あとは財政支援ですね。ロボット開発には補助金制度があります。補助金自体は国が負担していますが、申請を出す際のサポートなどは私どもでも行っています。かなり種類もありますから、どの制度を活用するのが適切なのかといった場合でも、国と調整しながら適切な場所に申請できるようにアドバイスしています。
国には総合特区推進調整費という制度があって、いい案件だけれど、予算が不足している場合などは、それを補完する推進調整費で対応することもあります。このあたりは特区でなければできないことですね。
また、生活支援ロボットを最短期間で実用化するため、企業や大学などの各機関が持つ資源を最適に組み合わせて研究開発を促進する「神奈川版オープンイノベーション」に取り組んでおり、こちらへの参加は県内外にかかわらず受け付けています。こうした場を作ったり、それぞれが持つ資源をつなげたりすることも、重要な仕事ですね。
麻痺や拘縮(こうしゅく)してしまった手指の反復運動をサポートする機器として使用するエルエーピーの「パワーアシストハンド」が商品化されています。パワーアシストハンドは、手袋のような形状で、手指の曲げる、伸ばすといった反復運動を補助します。開発したエルエーピーは厚木市にある企業です。
各企業との関係もあり「この次商品化するのはこれ」と、現時点で言い切ることはできませんが、さがみロボット産業特区が最も重きを置いているのは実用化です。通常特区といわれる場所では基礎研究や基礎作りに主眼を置かれている傾向がありますが、わたくしどもでは実証実験の場を提供し、開発に必要な規制緩和に取り組むことで、実用化の後押しをしたいと考えています。
2014年の1月からイメージキャラクターに「鉄腕アトム」を採用し、積極的にさがみロボット産業特区を打ち出しています。最終的にはロボット関連企業の誘致や産業の活性化が目的ですから、広く全国の方々にこの特区の存在を知っていただきたいです。
11月には周知広報の一環として、特区内に鉄腕アトムの信号機を設置しました。設置場所は特区内のどこかということで、ヒントしか公開していないのですが、探す楽しみもあってか、かなり注目を集めることができました。
ウェブサイトも鉄腕アトムをキービジュアルに据え、アトムの7つの力を特区内で開発を進めているロボットになぞらえるなど、わかりやすく親しみやすいものを目指しています。
ロボット関連産業を集積して、ロボットの実用化を推進する。そうした取り組みを通して、安全、安心の地域社会づくりと地域経済の活性化を推進していきます。
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