アマゾン「Kiva」ロボット--棚ごと商品を運ぶ配送センターの効率化技術 - (page 3)

Donna Tam (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2014年12月05日 07時30分

ロボットから顧客宅の玄関先まで

 Amazonの倉庫におけるKivaロボットの作業は限定的なものに思えるかもしれないが、同社によると、Kivaロボットによって平均的な注文の処理にかかる時間を1時間以上短縮できているという。トレーシーにあるAmazonのフルフィルメントセンターでは、人間がさまざまな機械と並んで働いている。

 Amazonの倉庫で商品に関する作業が始まるのは、従業員がトラックから荷物を降ろして、ベルトコンベアに載せるときだ。25人ほどの従業員が列をなして1つのベルトコンベアの近くに立ち、箱を降ろして開ける。

 その後、従業員は箱の中身を取り出してカートに載せ、そのカートがアイテムを仕分けして棚に収める従業員のところに運ばれる。

 アイテムは無作為に棚に収められているように思えるが、実際にはコンピュータアルゴリズムに基づいて分類されている。その結果、トレーシーの倉庫のある棚には、「マイリトルポニー」の玩具、蛍光テープ、数冊の「ハムレット」が隣り合わせに押し込まれていた。

 トレーシーの3000体のKivaロボットは商品が入った棚を倉庫の床から持ち上げて、人間の従業員のところまで運び、従業員がアイテムを選び取って発送用に梱包する。これにより、Amazonは時間を短縮しており、おそらくコストも節約していると思われるが、同社は具体的な金額については明言を避けた。AmazonのClark氏によると、現在、アイテムを棚から取ってきて箱に詰めるまでにかかる時間は1注文あたり平均約15分で、以前の1時間半から短縮されているという。AmazonはKivaの買収以来、ロボットの性能も着実に向上させている。最新のKivaロボットは、旧機種より50%多くの在庫をフルフィルメントセンターから運び出すことができる。

 Amazonの倉庫のフロアを素早く動き回るKivaのロボットは、センサを使って互いに通信することで、衝突を避けている。カリフォルニア大学バークレー校のロボット工学教授であるGoldberg氏によると、このテクノロジを備えるKivaは、現在使用されているロボットシステムの中で最も高度なものの1つだという。

 「動かない棚を大量に設置するよりコストがかかるが、これだけの量を導入すれば割に合う」(Goldberg氏)

 では、ロボットがミスを犯したらどうなるのだろうか。Amazonには、通常数時間以内にロボットを修理できる人間のエンジニアがいる。Amazonの目標は、1フロアあたり10体以上のロボットが同時に使用不能にならないようにすることだ。

 Kivaロボットは、正常に動作しているときは一列になってRosales氏のステーションに到着する。一連のベルトコンベアの上に設置されたコンピュータ画面に、選ぶべきアイテムと、棚のどこにそのアイテムがあるかが表示される。同氏はそのアイテムを選び取って、右側のベルトコンベアに置かれた黄色い箱に入れる。それが終わって、ボタンを押すと、ベルトコンベアがその箱を梱包と積み込みが行われる場所まで運ぶ。

 Rosales氏の名前を付けられたロボットはまだないが、同氏はそれを望んでいる。

 「今、調べているところだ。実現したら、クールだろう」(Rosales氏)

Amazon従業員の名前が付けられたKivaロボット。従業員は、ロボットを「所有」する機会を得るためコンテストに参加した。
Amazon従業員の名前が付けられたKivaロボット。従業員は、ロボットを「所有」する機会を得るためコンテストに参加した。
提供:James Martin/CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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