カリフォルニア州オークランド発--原告団は米国時間12月2日、Appleに対する訴訟の概要説明を開始し、Appleが不必要なソフトウェアアップデートを実施することにより「iPod」の価格を高く保っていたと法廷で述べた。
独占禁止法違反だとして集団訴訟を起こした原告2人の弁護士は、Appleが競合各社に打撃を与えて競合各社の楽曲をiTunesから排除することを望んだため、その過程で結果的に消費者に損害を与えた、と主張した。
9日間続く予定となっている審理では、AppleがiTunesソフトウェアを利用して比較的低価格なデバイスを排除する一方で、同社のMP3プレーヤーは過剰に高い価格で維持されてきた可能性があるという、ほぼ10年来の主張を裁定することになる。
訴訟の争点は、AppleがiPod発売の最初期に定めた一連のポリシーだ。これらのポリシーはすでに廃止されており、iTunesユーザーとiPodの所有者が購入した楽曲をどのプレーヤーでどのようにして再生するのかを管理することを目的としていた。原告団は、AppleがiPod所有者に対しiTunesを通じて購入した楽曲しか再生できないよう制限することと、iTunesから購入した楽曲を競合のMP3プレーヤーで再生できないようにすることによって、競争を妨げたと主張している。こうしてiPodの価格が人為的に高く保たれた、と原告団は述べている。
原告団の主席弁護士であるBonny Sweeney氏は12月2日、次のように述べた。「Appleがこうした変更を自社のソフトウェアに施したのは、競合サービスが彼らの楽曲をiPodで再生する方法を考案したことをAppleの上級幹部が知った後だった。Appleには、それによって自社の市場シェアが浸食されるとの懸念があった」
Appleの主席弁護士であるWilliam Isaacson氏はこれらの訴えに反論し、「このように途中で異物(の楽曲)を差し込むと、全体で正常に機能しなくなる可能性があった。消費者の体験と製品の質に危険をもたらすものだった」として、Appleのソフトウェアアップデートを擁護した。同氏はまた、iPodの価格が一時つり上げられたとの原告団の主張に対し、その時期にiPodの保存容量が増えて、価格は下がるか横ばいだったと指摘した。「価格が下がり、質が高まったのだから、ここでの損害はないはずだ」
原告団のMelanie Wilson氏とMarianna Rosen氏は、3億5000万ドルの損害賠償を求めている。集団訴訟の状況にあるため、2006年9月12日から2009年3月31日までにiPodを購入した約800万人もの消費者に損害賠償請求が認められる可能性がある。Appleのマーケティング担当責任者であるPhil Schiller氏とiTunes担当責任者のEddy Cue氏が、数日中に出廷する予定だ。原告団は、2011年に死去した元最高経営責任者(CEO)のSteve Jobs氏による宣誓証言ビデオも流す意向だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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