欧州のプライバシー規制当局が、同地域における「忘れられる権利」を認めた裁定を、全世界に適用するよう求めている。欧州連合(EU)は5月、欧州内での検索結果が古いか不適切であると考えられる場合には、当人はこの検索結果から自分の名前を除外するよう要請できるとの裁定を下した。
欧州で最大手の検索エンジンであるGoogleはこの裁定に従っているが、対象となるのはフランスの「Google.fr」やドイツの「Google.de」など欧州各国版のサイトのみで、「Google.com」は含めていない。EUは今回、この点を改めるよう要請している。
EU加盟28カ国のプライバシー規制当局を代表する組織Article 29 Working Partyは、ブリュッセルで現地時間11月26日に記者会見を開き、先の裁定はすべてのインターネットドメインに適用されるべきだと主張したと、複数の報道が伝えている。
Bloombergの記事によると、フランスのプライバシー監視機関と欧州のデータ保護当局Article 29 Working Partyのトップを務めるIsabelle Falque-Pierrotin氏は、「対象となるのは『.com』を含むすべてのドメイン名拡張子だ」と述べたという。
新たに発表されたガイドラインは、「忘れられる権利」の裁定をどのように実行に移すべきかについて、Googleが欧州の規制当局と繰り広げてきた論争をあらためてクローズアップするものだ。例えばFalque-Pierrotin氏は、リンク除外の決定を報道機関に伝えるというGoogleの慣行も批判している。この場合、自分の名前を消し去りたいと望む人たちに再び注目が集まる結果に陥りやすいからだ。
この件は、欧州でGoogleが抱えるさまざまな問題とも連動している。欧州議会は、Googleの検索ビジネスを同社のほかの商用サービスと切り離す「アンバンドリング」(分離させる)を求めるとみられている。また、Googleは4年にわたる欧州委員会(EC)の独占禁止法違反調査の対象でもある。
Article 29 Working Partyが示した今回のガイドラインには法的拘束力がなく、Googleが従うかどうかは不明だ。Googleの広報担当者は、同社はまだこのガイドラインを見ていないものの、「正式に公開された段階で慎重に検討する」つもりだとしている。このガイドラインは11月中に公開される予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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