Google会長のEric Schmidt氏はベルリンで現地時間10月13日、Googleの革新的な取り組みと、同社が欧州連合(EU)の市場や規制当局に対してどのように対応しているかをテーマに講演するとともに、同社を取り巻く競争的な環境について概説した。
Schmidt氏の考えでは、検索におけるGoogle最大のライバルはAmazonだという。その発言はニュースの見出しとなるほどだったが、Googleの会長がNative Instrumentsで講演した内容の真意を探るには、以下の発言を解析する価値があるだろう。
質問に直接回答するというこの問題は、Googleに関して欧州委員会(EC)に寄せられている苦情の中核をなしている。Expedia、Yelp、TripAdvisorといった企業は、Googleが各社のウェブサイトから有益なトラフィックを奪い、事業に不利益を与えていると主張している。こうした企業はむしろ、10 Blue Linksに戻った方がよいだろう。興味深いことだが、われわれが質問に直接的な回答を提示するようになって以来、こうしたウェブサイトがGoogleから獲得するトラフィックは著しく増加した。実際、それはわれわれ自身のトラフィックを上回るペースだ。とはいえ、他のサービスに振り向けられたトラフィックの量をGoogleの成功を測る主な物差しにするべきではない。なぜなら、検索エンジンの目的は、関連性の高い結果をユーザーにできるだけ素早く提示することだからだ。平たく言えば、われわれはユーザーのために検索を作ったのであり、ウェブサイトのためではない。そしてこのことは、過去10年間にわれわれが取り組んできたあらゆる改良を支える動機となっている。
米YahooやNokia、Microsoft、Blackberryといった企業は、ほんの数年前まで他に並ぶものがない絶対的な存在だと思われていた。しかし、Googleも含まれるが、テクノロジ企業の新たな波はそうした古株の勢いを奪っている。多くの人々は懐疑的だ。それは理解できる。GoogleやApple、Facebook、Amazonを見て、競合企業に勝ち目はないと言うが、私はそれが確かなことだとは考えていない。
理由の一つに、こうした企業はお互いが最大の競争相手になっているということが挙げられる。テクノロジ分野の競争は、必ずしも同じ条件で行われるとは限らないからだ。多くの人々は、われわれのライバルはBingとかYahooだろうと考えている。しかし、実際のところ、検索におけるわれわれの最大のライバルはAmazonだ。一般に、Amazonは検索事業とみなされていないが、何か買うものを見つけようという場合、皆さんは大抵Amazonで検索するだろう。Amazonは同じ力関係でも商業的な側面により重点を置いているのは明らかだが、根底では、ユーザーからの質問と検索に答えているのであって、われわれがやっていることとまったく同じだ。
しかしさらに重要なのは、誰かがガレージのどこかで、われわれを追い落とそうと狙っていることだ。私にはそれが分かる。というのも、われわれはそう遠くない昔、そのようなガレージにいたからだ。変化は思いもよらない場所から現れてくるものだ。電報が郵便サービスを崩壊させた。ラジオとテレビは、ニュース産業を揺るがした。航空機は、遠洋定期船の時代を終わらせた。次のGoogleは、Googleがやっていることをしようというのではない。しれは、AOLがしたことをGoogleがやらなかったのと同じだ。革新的なことはいつもダイナミックで、結果として起こる大きな変化は、未来が停滞していないことをわれわれに確信させるだろう。これが革新的なことが起こる過程だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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