「楽天市場」サウンドハウス撤退騒動--楽天の説明と憤る他店舗オーナーの証言 - (page 2)

井指啓吾 (編集部)2014年11月22日 15時30分

 筆者が19日に報じた次の記事に対し、とある楽天市場出店店舗オーナーから、楽天がこのように今回主張した内容の一部が事実に反するとの指摘を受けた。

サウンドハウス、「楽天市場」怒りの撤退--「担当者退職」による伝達ミスが原因か

 そこで、この指摘してきた人物が実際に楽天市場の出店店舗オーナーであることを確認した上で、今回の楽天の主張が事実と異なる点を聞いた。なお当人の希望により、氏名および会社名、楽天市場の店舗名は明かさない。ここでは仮にA氏と呼ぶ。A氏は2010年から楽天市場に出店している。

 楽天の説明では、この施策を始めるにあたり、9月8日からメールや文書での告知を複数回実施し、各店舗の担当者(ECコンサルタント)による電話説明を行った。また、店舗を運営するための管理システムにもFAQなどを掲示し、さらに「各店舗からの承諾を得た」としている。

 これについてA氏は、メールでの告知は「全店舗に同じ内容を送る一斉送信メールが5~8回」あり、また郵送の告知文書も受け取ったとするものの、「ECコンサルタントによる電話での説明は受けていない」という。ただし、告知文書(楽天が発行している出店店舗向けの冊子)が届いた後、コールセンターのスタッフから、その冊子の到着を確認する電話連絡は受けたそうだ。

 これについてあらためて楽天に聞いたところ、「全店舗への連絡は、ECコンサルタントだけでなく、コールセンターのスタッフを含んでのものだった」とした。なお、個別の事情として、たとえば事務所の移転などにともない電話番号が変わった後に楽天市場の契約情報を更新していない場合などには、連絡ができないこともあるそうだ。

 「店舗に対して可能な限り各施策の説明をしているが、完全ではないと思っている。何か疑問がある場合には直接問い合わせてもらえれば」(楽天)。

 また、楽天は11月19日時点で、今回の施策開始後に楽天市場への出店をとりやめたり、同施策を批判したりしたのはサウンドハウスのみとしていた。施策開始“後”とするこの説明自体は間違っていないかもしれないが、施策の告知段階では批判があったようだ。

  • 楽天市場の店舗管理システム

 楽天市場の店舗管理システム(RMS)には「RON会議室」という掲示板がある。これは、楽天市場への出店者のみが書き込み、閲覧できるものだ。

 A氏から受け取った資料によれば、9月8日12時過ぎに1つのスレッドが立った。今回話題となっている“振込先口座の一本化”の告知を含む「安心・安全なショッピング環境づくりについて」の書類が届いたという内容で、そこには同施策に対するさまざまなコメントが付いている。筆者が確認できたもので、明確な批判ととれるものが少なくとも9件寄せられていた。

 楽天はスレッドの内容を認識していた。筆者が確認した以外に、掲示板やECコンサルタントなどを通してさまざまな意見が寄せられており、反対する声があれば、ユーザー保護に前向きな姿勢を示してくれるものも多くあったという。楽天側は明らかにしなかったが、前述した通り、今回の施策は購入者(消費者)保護を優先しているため、少数派の意見は反映されなかったのかもしれない。

 A氏はサウンドハウスと同じく、楽天側が「勝手に」今回の施策を開始したと受け止めている。一方で楽天は、出店規約に基づき店舗側に事前に告知し、認知してもらえるよう働きかけた上で開始したことで「承諾を得た」と説明する。店舗側の立場であれば確かに勝手なようにも思えるが、あくまでも楽天は「事前に法務担当者による確認を受けており、法的に問題はない」とする。

 なお、店舗側からECコンサルタントなどを通して施策に対する意見を受け取った場合には、確実に実現できるわけではないが、何らかの対策を立てられる体制を整えているそうだ。

 さらに、今回指摘した“A氏から見た”楽天市場の運営実態を伝える。これはもちろん、楽天市場の店舗全体を代表する声ではない。ただ、楽天市場の4万1718店舗(9月末時点)のうち、現在の運営方針に不満を持っている店舗があるのは事実だ。

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