米国時間11月10日、Mozillaはブラウザ「Firefox」の新バージョンをリリースし、ユーザーのプライバシー保護に関する複数の新機能を加えて、Firefoxの誕生10周年を祝った。新たなプライバシー保護機能として登場したのは、新設の「Forget」(忘却)ボタン、検索エンジン「DuckDuckGo」の使用オプション、実験的な追跡拒否機能などだ。さらに、Polarisというプライバシーイニシアチブも設立された。Polarisの設立には、民主主義と技術のためのセンター(CDT)とTorプロジェクトが参加している。MozillaのシニアエンジニアリングマネージャーGavin Sharp氏によれば、その背景にある考え方は「プライバシーに関する思想的指導者を集結させる」ことだという。
また、Mozillaは、ウェブ開発者向けにカスタマイズされた「Firefox Developer Edition」と、リファレンス端末「Flame」用の「Firefox OS 2.0」開発者プレビューも公開した。
Firefoxには、大きな魅力が1つある。それは、AppleやGoogle、あるいはMicrosoftといった大企業のニーズに応えるためではなく、ユーザーの役に立つために開発された唯一のメジャーなブラウザであるという点だ。どのような目的あれ、ユーザーに対するスパイ活動を行わないと保証できる唯一のブラウザである。また、正真正銘のオープンソースである唯一のメジャーなブラウザでもある(「Chrome」のオープンソース版として「Chromium」が提供されてはいるが)。
「Snowden氏以降」の世界において、米国のNSAばかりでなく、Googleなどの企業も行っているスパイ活動がいかに多いか、人々はますます意識するようになっており、プライバシーの保護は大きな利点となりうる。多額の資金力を持つライバルとの競争の中でFirefoxの市場シェアは縮小しつつあり、Mozillaにとってはマーケティング用語で言うユニークセリングプロポジション(USP)が欲しいところだ。
Sharp氏によると、その他の変更は、Firefoxの「実験的」バージョンで登場するという。これには、「『Do Not Track』(追跡拒否)を尊重しないすべてのウェブサイトの追跡をブロックする」追跡拒否機能が含まれる。
おそらく、最も重要な実験的開発は、Sharp氏が「パフォーマンスと安定性に効果的」と言う「マルチプロセスアーキテクチャ」だ。これは「Electrolysis」または「e10s」として知られるもので、開発者はそれぞれのアドオンがこのe10sに準拠していることを確認するか、http://arewee10syet.com/でバグを報告することを求められている。e10sは、2015年の早い時期にリリースされる「Firefox 36」に搭載されると見られている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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