Google、テクノロジ使った「社会問題」解決案を募集--シュミット会長も期待

 Googleは11月4日に記者会見を開き、社会問題の解決に取り組む日本国内の非営利団体を対象に、テクノロジを活用してより良い社会を作るアイデアを募集するプログラム「Googleインパクトチャレンジ」を実施することを発表した。受賞したアイデアには総額2億円の資金援助と技術支援をする。


「Googleインパクトチャレンジ」トップページ

テクノロジで社会問題を解決できるアイデアを募集

 このプログラムは、世の中にあるテクノロジを駆使して社会問題を解決できるような新たな可能性を生み出すことを目的とし、2013年に英国で初開催。2014年は英国、米国、インド、ブラジル、オーストリアで開催され、日本は6カ国目の展開となる。募集対象は、日本国内で特定非営利活動法人(NPO法人)、公益法人、社会福祉法人に認定されている組織、団体で、2015年1月9日までウェブサイトでアイデアを募集する。

  • 「Googleインパクトチャレンジ」概要

 集まったアイデアは、解決しようとしている問題の規模とアイデアが実現した際に社会にどれだけの影響を与えることができるかという「インパクト」、アイデアの技術的な革新性、斬新さという観点の「イノベーション」、アイデアを他の社会問題に応用できるかという「応用可能性」と、アイデアを実現するためのロードマップがあるかという「実現可能性」の4つの基準で審査し、10組の最終候補を選出する。なお、アイデアの中にGoogleの技術・サービスを活用している必要はない。

 一般投票と審査員に対するプレゼンテーションを経て、2015年3月には優秀賞「Googleインパクトチャレンジ賞」2組、一般投票で最も票を獲得した「ピープルズチョイス賞」1組、そして女性の社会問題の解決や社会参加の支援にフォーカスを当てたアイデアを対象とした「Women Will賞」1組を決定する予定だ。

 審査員には、内閣総理大臣令夫人の安倍昭恵氏、MITメディアラボ副所長の石井裕氏、JAXA宇宙飛行士の野口聡一氏、Change.org日本代表のハリス鈴木絵美氏、Google.orgディレクターのジャクリーンフラー氏、Google日本法人CMOの岩村水樹氏の6名が参画する。

 各受賞者には、助成金5000万円とアイデアの実現に向けたGoogleによる技術支援を提供。アイデア実現後には、非営利団体向けの支援プログラム「Google for Non Profits」を活用したサービス利用促進のサポートなどを行うとしている。

  • アイデア募集から最終候補選出までの流れ

  • スケジュール

  • 審査員

 このプログラムの趣旨について、審査員として参加する岩村氏は「Googleはこれまでも、テクノロジによりさまざまな形で社会に貢献する取り組みを数多く行ってきた。このプログラムを通じ、非営利団体の方々と一緒になることで、世界をより良くするスピードを加速させていきたい」とコメント。非営利団体の社会活動における課題を「資金力とテクノロジ」とし、今回のプログラムを通じて問題解決のために取り組む活動を資金面、技術面で支援していきたい考えを示した。

「高い目標」が世の中を変える大きな一歩に

 記者会見後の非営利団体向けの説明会には、来日したGoogle会長のエリック・シュミット氏が登壇。Change.org日本代表のハリス鈴木絵美氏とともに対談をした。


Google会長のエリック・シュミット氏

 シュミット氏はGoogleインパクトチャレンジの目的について、「世界各国で開催しているGoogleインパクトチャレンジを通じて私たちは、資金難などを理由にアイデアを形にすることができないクリエイティブな人々を資金面で支援することで、世の中に変化を起こし、より良いコミュニケーションができる社会を実現しようとしている。中でも重要なのは、私たちがこのプログラムを通じて女性の活躍=女性が社会の中で平等な立場で活躍することを支援しているということ。クオリティ・オブ・ライフの向上は女性が積極的に社会参加し、地位の高いキャリアで活躍することによって実現するのではないかと考えている」と語った。

 また「テクノロジを活用すればどのような形で社会問題を解決することができるのか」というハリス鈴木絵美氏からの問いに対しては、「多くの人がお互いに連携してシナジー効果を生み出し、それをさらに多くの人に知ってもらうことで効率よく世の中の関心を拡げていくことができる。テクノロジによってその社会問題に関心を持つ人たちにリーチすることができ、そしてさらに多くの人の関心を喚起することができるのだ。その結果、社会問題を解決するために取り組もうという人が増えていくのではないだろうか」と回答し、解決すべき社会問題を顕在化させ、関心と支援の輪を拡げる方法としてテクノロジが活用できるという考えを示した。

 社会問題の解決に挑戦するにあたり「最初の一歩をどのように踏み出すべきか」という点については、「“10%良くしよう”ではなく“10倍良くしよう”と考えることが重要だ。10倍の改善を目指して結果的に3倍の改善を達成することができれば、それは大きな第一歩になるはずだ。暫時的、増分的な変化を求めるのではなく、怖れずにスケールの大きなチャレンジに取り組むことが重要だ」とコメントした。

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