「組織の国際化がものすごく進んでいる。この四半期でようやく花開いてきた」――。楽天の2014年1~9月期、および同7~9月期の連結決算は増収増益だった。楽天市場や、楽天カードなどの金融事業が好調で、電子書籍リーダー「Kobo」を中心とした新規事業の赤字は縮小した。
楽天の“英語公用語化”が始まり4年が経った。2010年5月頃、海外進出を図る同社内で徐々に拡がったこの取り組みは、約2年にわたる準備期間を経て、2012年7月に全社員を対象とした切り替えが完了した。
英語公用語化の狙いは同社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が過去の会見で何度か語っている。開始当初には「(日本の)サービス会社で世界に通用する会社はほとんどない。その原因は英語が話せないことではないだろうか」と話し、各国に適したサービスを提供できるようにするという考えを伝えていた。
◇英語公用語化を明らかに
楽天の2010年1Q決算--営業利益は2年連続で過去最高に
◇三木谷氏の狙い
楽天は「世界企業になる」--流通総額20兆円、海外比率7割目指す
楽天は同期、海外企業の買収と新サービスの展開に積極的だった。2月に買収したメッセージングアプリ「Viber」は、月間アクティブユーザー(MAU)が2億900万人、ユニークIDが4億4900万件と、2013年の2倍以上にまで成長。特にロシアやインド、アジアではベトナムやフィリピンなどでユーザーが増えているという。
また、9月に買収した会員制オンラインキャッシュバックサイト「Ebates」は、流通総額の“成長率”が前年同期比で58.3%増加。2014年は3000億円を上回る見込みで、楽天市場に追いつきそうな速さで成長しているという。なお同期のEC流通総額は、グローバルでは前年同期比27.2%増となる5853億円、国内だけを見ると同11.3%増の4795億円。
10月に開始した新2サービスも好調な出だし。数値は明かさなかったが、Rポイントカードは「利用者の約半数は楽天を使ったことがない人。新規ユーザー獲得という意味でも期待が持てる」(三木谷氏)。
また楽天モバイルは、計画よりも予約数が上回っているという。プロモーションは年が明けてから大規模に展開する予定だそうだ。
◇加盟企業の拡大を目指す
楽天、“Rポイントカード”を開始--三木谷氏「楽天市場開始時と同じくらいの興奮」
◇大手キャリアの「3分の1」の料金
「楽天モバイル」で大手キャリアに真っ向勝負--三木谷氏の意気込み
楽天市場の出店店舗数は4万1718件で前年同期より減少した。三木谷氏は「店舗数をむやみに増やさず、信頼できる店舗だけを集め、“プレミアムモール”を目指して質を上げていく」と戦略を語る。ユーザーのモバイル比率が43%に達したことも明かした。
また、11月からは新サービス体系にシフトする。すでに同1日から新たな購入補償サービスを適用しており、店舗向け料金体系も順次改定する計画だ。
なお、ヤフーが2013年10月から「Yahoo!ショッピング」のストア出店料と販売手数料を無料化している影響については「データだけを見ると、あまりなかった」と話した。
楽天の2014年1~9月期の連結業績は、売上高が4242億円(前年同期比14.7%増)、営業利益が731億円(同3%増)、純利益が423億円(同16%増)。
2014年7~9月期の連結業績は、売上高が1476億円(前年同期比14.6%増)営業利益が283億円(同20.9%増)、純利益が192億円(同79.4%増)。通期業績見通しは引き続き開示しなかった。
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