サイバー、「スマホシフト完了」で売上2000億円--音楽、動画領域にも本格進出

井指啓吾 (編集部)2014年10月30日 20時38分

 「売上の4分の3がスマートフォンに集中し、増収しやすくなった。これはスマートフォンシフトが完了したと言える」――サイバーエージェントが10月30日に発表した2014年9月期(2013年10月~2014年9月)の連結業績は、売上高2052億3400万円(前年同期比26.3%増)、営業利益222億2000万円(前年同期比115.3%)で、どちらも過去最高を更新。純利益は95億5600万円(前年同期比9%減)だった。

  • サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏

 Ameba事業、インターネット広告事業、ゲーム事業がそれぞれ順調に推移した。構造改革を実施したAmeba事業は投資期間を経て収穫期に入り、インターネット広告事業はスマートフォン広告を強みとして引き続きシェアを拡大。ゲーム事業は国内向けネイティブゲームがヒットし、継続して成長できる体制を整えた。

  • 通期連結決算概要

  • 連結売上高の推移(通期)

  • スマートフォン売上高の推移(四半期)

◇構造改革で約1600人を半減
Ameba事業、人員を半分に--「ネット広告」好調のサイバーエージェント

◇スマホ広告で強い理由
サイバー、スマホ広告好調の要因「最強のセールスフォース&最高のサービスを両立」


 今後、この「3本柱」に新たな1本を追加すべく、コミュニティとエンターテインメント分野の育成を強化する考え。具体的には現在、コミュニティ事業本部が運営するトークライブアプリ「755(旧:7gogo)」を強化事業の1つに指定している。

 755は、著名人が繰り広げる「トーク(チャット)」を閲覧したり、その内容に対してコメントしたりできるサービス。8~9月頃にAKB48のプロデューサーなどを務める秋本康氏が使い始めたことで、AKB48をはじめとする著名人に波及し、ユーザー数が増えているという。

  • 強化事業となった「755」

  • 各事業の今後の目標

 サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏は「決定的な機能はもうすぐリリースできる。それを経て、年末年始に大規模なテレビプロモーションを実施する計画。コミュニティ事業本部の新たな柱にしたい」と期待を寄せる。なお、2014年9月期第3四半期の決算説明で明かした“音楽に関する新規事業”については「今はまだ話せないが、もうじき発表する」と話した。

◇「755」とは?
藤田氏と堀江氏がタッグを組んだ「7gogo」いよいよ始動--スマホ向けにアプリを公開へ

投資事業は「利益の源泉」

 投資育成事業も好調だ。2015年9月期の営業利益に約42億円を計上する予定で、それを含めた2005年度からの累計営業利益は189億円にのぼる。

 投資先が相次いで上場しており、2014年にはレアジョブ、VOYAGE GROUP、ロックオン、Daum Communications Corp.、セレスの5社が上場。藤田氏は「今後上場が見込まれる有力な銘柄にはすでに投資している。IPO市場が活況である限り、今後も利益の源泉になる可能性が高い」と説明した。

  • 投資育成事業の営業利益(年度)

  • IPOした投資先

◇6月上場したレアジョブ・加藤社長の話
Skype英会話のレアジョブが上場--承認後にCA藤田氏から届いたメール

動画関連事業にも本腰

 サイバーエージェントは今後、動画関連事業に本格的に取り組む。「動画はかなり力を入れており、すでに4つほど同時に動かしている。7月に設立した新会社『渋谷クリップクリエイト』では、企業向けのバズりやすいプロモーションビデオを作っている」(藤田氏)。

 10月31日には、新たに2社設立したことを発表する予定。その2社では、「TwitCasting(ツイキャス)」に似たサービスなどを提供するという。「アメブロを運営して芸能事務所とのつながりができているため、プロ・半プロ層向けのサービスを作っている」(藤田氏)。

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