「中国は最大のスマートフォン市場だが、今は業績を立て直すために事業を大幅に縮小する」――。ソニー代表執行役 EVP CFOの吉田憲一郎氏は10月31日、中国向けスマートフォン機種の開発を中止することを明らかにした。Xiaomiなど中国スマホメーカーの躍進に苦戦を強いられている。
同社の2014年9月中間連結決算は、純損益が1091億6100万円の赤字だった。中間期として4年連続の赤字となる。スマートフォン事業の不振により、モバイル・コミュニケーション分野で1760億円の減損を計上したことが響いた。通期スマートフォン販売見通しは4300万台から4100万台に下方修正し、同事業の通期業績見通しを2040億円の赤字に引き下げた。
ソニーは10月30日、ソニーモバイルコミュニケーションズのトップ交代を発表。代表取締役社長兼CEOの鈴木国正氏を事実上更迭し、後任にソニー業務執行役員 SVPの十時裕樹氏を充てた。決算会見に登壇した十時氏は「モバイル事業の収益性を高めることにフォーカスして取り組んでいく。経営のスピードを上げて全体を強化していきたい」と述べた。
「残念ながら今期は赤字を計上しているが、製品自体はそう劣後するものではない。この“いい商品を作る力”を丁寧に磨き込み収益力を上げることができれば、必ずいい事業になる」(十時氏)。
9月17日の決算会見では、ソニー代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏が、モバイル・コミュニケーション事業に従事する7100人の社員のうち15%にあたる約1000人を削減する計画を明かしていた。今後の業績によってさらなる削減も考えているのかとの問いに対し、吉田氏は「当期のミッションは収益構造を安定化、向上させること。追加で構造改革をすることはあり得る」とした。
◇7月から中期計画の見直しに着手
ソニー、2015年3月期決算見通しを下方修正--2300億円の赤字に、1000人を削減
ソニーの2014年3月期(2013年4月~9月)の連結業績は、売上高は前年同期比6.5%増の3兆7114億1900万円となったものの、営業損益は157億7400万円の赤字、税引前純利益は215億7800万円の赤字となった。
モバイル事業が苦戦する一方、「プレイステーション4」とその関連ネットワークサービスの売上高が伸びたゲーム事業、液晶テレビの販売台数増加が寄与したホームエンタテインメント事業は好調だった。
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