デジタルテクノロジの進化により、それまでは解決できなかった問題が解決できるようになった。一方、デジタルに頼るあまり人間の能力が衰えたり、新たな社会問題が起こったり、果ては新たな病までも生み出されたりしている。こうした現象を、多くの人が身近に感じてはいるだろうが、実際のところ、デジタルテクノロジが日常のものになった世界はどうなっているのか。
著者の小川和也氏は、1971年生まれ。インターネットがない時代と、インターネットが日常的に使われるようになった時代を、ちょうど半分くらいずつ過ごしている。だからだろうか、本書は義肢やコンタクトレンズなどの医療へのデジタルテクノロジの応用から、デジタルツールによって起こる社会問題まで、幅広い話題を取りあげているが、ドキュメンタリー映画を見ているかのように、分かりやすく頭に入ってくる。
新たな技術が生まれるとき、何かを得る代わりに何かを失う。それは、人が今まで何度も繰り返してきたことだ。デジタルテクノロジも同様であり、付き合い方を間違えなければいいのだろう。デジタルに振り回されていないか、今一度考える機会を与えてくれる1冊であることは確かだ。
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