第3次産業革命は、今、起きつつある。コンピュータが発明され、インターネットが普及したことそのものは産業革命ではない。しかしデジタル技術によるものづくりが、人の手によるものづくりと融合して起こることは産業革命であり、それは現在進行中の出来事だ。なんという時代に我々は生きているのだろう。
資本を持つ大企業でなければ、アイデアを製品にすることはできなかった。しかし現在は工具は小型化し、誰でも手軽に手に入れられるようになった。画面上でアイデアを設計し、広く共有できるようになり、資金を世界規模で募って製品化することも簡単だ。
その好例の一つとして、筆者は「Kickstarter(キックスターター)」を挙げている。アイデアに対するファンをウェブサイト上で募り、出資してもらい、目標金額が集まったところで製品化する。製品化するのに巨額のリスクを伴うこともない。
さらに、ものを作るための工房が身近になった例として、印刷の世界に革命をもたらしたデスクトップパブリッシング(DTP)をもじって、デスクトップ工房を挙げている。3Dスキャナや3Dプリンタを使えば、クリック一つでものの形をデスクトップに取り込んだり、素材からものを成形したりできるのだ。
筆者のいうアトムの世界(現実世界)とビットの世界(デジタル世界)の組み合わせによるものづくりは、今度より身近な場所で見られるようになるであろうし、体験することになるだろう。今すぐに、その変革の様子を俯瞰したい人には、本書を読むことを強く勧める。
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