WhatsAppの牙城を切り崩す鍵は、ローカライゼーションの徹底だという。例えば、メッセージのコアである言語は、インド国内では公用語だけで22もある。こうしたユーザーの多様なニーズに、ローカル企業として応えることで顧客を獲得していく考えだ。
機能においては、例えばインドの家庭では1台のスマートフォンを家族で共有して使うことが少なくないそうで、そのためプライバシーが重要になる。「Hidden Mode」はそのニーズに応えるべく作られた機能で、特定の人とチャットをしたり、内容を閲覧するのに必要なロックを設定することができる。
「Hike Offline」は、スマートフォンがオフラインになった際に、データ通信から電話通信のSMSに自動で切り替える機能。米アカマイ・テクノロジーズの調査によると、3G回線の通信速度は339Kbpsとアジア・太平洋諸国のなかで最低。郊外に行けば2G回線で通信しなければならないこともある。そうした脆弱な電波環境においても安定したコミュニケーションを提供するための工夫である。
このほかにも、重要なメッセージだけを常に表示させ目立たせてくれる「Hike Pins」、自分に関する情報の公開設定ができる「Last Seen」、チャットの背景をカスタマイズできる「Chat Themes」、ステッカーと呼ばれるスタンプ、グループチャット、既読表示など、ユーザーの体験をよりよくするための改良がほどこされている。
現在はユーザー数の拡大に注力しており、マネタイズの施策は今後講じていく。インドで普及する廉価版スマートフォンの利用者の多くは、端末容量が少ないため日常的に使うアプリを5~6個に絞り、そこから漏れてしまったアプリは削除するのだという。Hikeでも過去に、ダウンロードから3日間で1000以上のメッセージのやり取りをしたにもかかわらず、4日目にアプリごと削除したユーザーがいたそうだ。
日本人はPCでインターネットに慣れ親しみ、その後スマートフォンが登場したが、インドで暮らす人々はそうではない。インターネットとスマートフォンが同時に登場した。そのため、「まずはBharti Airtelと協力しながら、ネットで、スマートフォンで音楽が聴ける、クリケットの試合が見られる、ボリウッド映画が見られることを伝えていきたい」とKayamori氏は語る。
Hikeのユーザー数は全世界で3500万、そのうち50%以上が月に一度以上利用するアクティブユーザーで、1カ月に100億メッセージがやりとりされている。当面の目標は1億ユーザーを獲得することだ。
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