猛進するインド発メッセンジャーアプリ「Hike」--ソフトバンクの合弁会社が展開

 この連載では、シンガポール在住のライターがアジア域内で注目を集めるスタートアップ企業を現地で取材。企業の姿を通して、アジアにおけるIT市場の今を伝える。

 人口約12億人、モバイル契約者数約8億5000万人という巨大ネット市場のインドでは、メッセンジャーアプリ各社が凌ぎを削っている。Economic Timesによれば、頭一つ抜けてトップシェアを走るのは、6000万ユーザーを有する「WhatsApp」。それを3150万ユーザーで追うのが今回紹介する「Hike」だ。さらに、「Viber」が2500万ユーザー、「LINE」が1800万ユーザーで追走する。WeChatはユーザー数を公表していない。

外資参入の成功を占う鍵は「現地パートナー」

  • 「Hike」

 Hikeは、インドの現地企業BSBが提供しているメッセンジャーアプリ。BSBは、日本の読者には馴染みがないかもしれないが、実はインド最大の通信会社Bharti Airtelを傘下に持つコングリマット企業Bharti Enterprisesと日本のソフトバンクが、2011年に出資比率50%ずつで設立したジョイントベンチャーだ。ソフトバンクが米国や中国だけでなく新興国市場にも攻勢をかけていることが分かる。

 今回、ソフトバンクからBSBに出向しているダイレクターのMike Kayamori氏に話を聞くことができたが、インド市場でサービスをマネタイズさせるには現状では時間がかかるそうだ。モバイル広告市場のおよそ半分をFacebookが独占し、サービスに課金するユーザーは限られているからだ。それでもインドに進出しているのは、パートナーとの出会いに恵まれたからだという。

 逆に良いパートナーとの協力関係なしに、外資系企業がこの市場に独資で参入する難度は高いとも。その理由として、富裕層は米国をはじめ海外の情報に触れているため、グローバルで人気のサービスが参入すれば利用してもらえる可能性はあるが、中間層についてはそれが当てはまらない。ましてや知名度がそこまで高くないサービスならなおさらである。

 前述の通り、Bharti Enterprisesはインド最大手の通信会社を擁する。その資産や顧客基盤にアプローチできることは、ユーザーを獲得する上で大きなアドバンテージとなるだろう。さらに、BSBの戦略を統括するKavin Bharti Mittal氏の父親は、Bharti Enterprisesの創業者でソフトバンクの元社外取締役でもあったSunil Bharti Mittal氏であり、両社の関係も非常に深い。


BSBの戦略・新規事業統括 Kavin Bharti Mittal氏

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